国語が得意になる文章の読み方(第8回)
〈本文〉
その時野原の北側に畑をもっている平二がきせるをくわえてふところ手をして寒そうに肩をすぼめてやって来ました。平二は百姓も少しはしていましたが実はもっと別の、人にいやがられるようなことも仕事にしていました。
物語読解の基本として、すべての表現に作者の意図があるという意識を持っておきましょう。とにかくあらゆることに疑問を持つのです。
・なぜ、野原の北側なんだろう?
・なぜ、きせるをくわえさせたのだろう?
・なぜ、ふところ手をして寒そうに肩をすぼめてるんだろう?
そして、ものを考えるときの基本は対比と抽象化です。つまり、「なぜ野原の北側なんだろう?」という問いは「なぜ野原の南側ではなかったのだろう?」とセットにして考えるのです。それだけで答えは出しやすくなるはずです。「きせる」「ふところ手」「寒そうに」「肩をすぼめて」も同様で、反対をイメージしてください。颯爽と笑顔で歩いているのとは違うということに気づけますよね。すべての表現が、平二が人からいやがられる人間なのだということを示しているのです。
さて、みなさん、ここでもう一つ大切な疑問を持ってほしいのです。
・なぜ、作者はここで( )
これまでの話の展開を思い出すと、空欄を埋めるのはそれほど難しくないはずです。
そして、この疑問を持てると、次の展開の予測もできます。
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先ほどの問いかけの答えです。
・なぜ、作者はここで平二を登場させたのか。
ここで人にいやがられる仕事をしている平二を出さなければ、何一つ親に頼み事もしたことがなかった虔十の願いである杉苗を植えることを兄に手伝ってもらってやることができ、それが見事に育ちました、という展開が予想されます。そこに平二を登場させたのです。続きを予想してみてください。