「国語を得意に!」〜中学入試応援ブログ〜

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2020年度開成中国語解説(パート2)

問二 傍線2「親友」にカギ括弧がついていることで、どのような意味になっていますか。「〜という意味ではなく、〜という意味。」の形で答えなさい。

 

〈先生〉

これは入試で出題されるカギ括弧の働きの基本形の問題ですね。念のため、その基本を確認しましょう。

次の文を見てください。

 

コロンブスアメリカ大陸を発見した。

 

いかがですか。何か違和感をいだきませんでしたか。

〈生徒〉

はい。コロンブス自身はアメリカに着いたと思っていなかったので、何か変な気がします。

〈先生〉

さすがですね。では、どこに着いたと思っていたのでしょうか。

〈生徒〉

インドです。だから、そこにいた先住民の人々をインディアンと呼ぶようになった。

〈先生〉

いいですね。だとするとさっきの文は変ですよね。

〈生徒〉

はい、発見がおかしいです。

〈先生〉

素晴らしい。では、どこがおかしいのですか。

〈生徒〉

コロンブスが着いた場所にはすでに人がいたのに発見と言っているのが変です。

〈先生〉

そうですね。発見というのは本来、初めて見つける、という意味があるのです。

もともと人がいた場所に対して発見という言葉を使うのはちょっとおかしいですよね。

それなのになぜ発見という言葉を使ったのかが気になりますよね。

それは、コロンブスのいた社会、すなわちヨーロッパではその大陸のことは知られていなかったのです。

だから、ヨーロッパの視点に立つと発見になったということなんです。

〈生徒〉

まさに、この設問の条件に合いますね。

〈先生〉

さすが!

「〜という意味ではなく、〜という意味。」という形に対応していますね。

最初の〜が、その言葉の本来の意味です。

そして、後の〜が、その文脈で使われている意味になります。

このコロンブスの例で言えば、

「世界で初めて見つけたという意味ではなく、コロンブスのいるヨーロッパの中で初めて見つけたという意味」となります。

 

今学んだカギ括弧の答えはしっかりと覚えておきましょう。

これを基本にして様々な答え方に応用できるようになります。

例えば、「なぜカギ括弧をつけたのか答えなさい」という問題だったとしましょう。

この場合は、「世界で初めて見つけたという意味ではなく、コロンブスのいるヨーロッパの中で初めて見つけたという意味で使われていることを示すため(意味を持たせるため)」と答えます。

基本が理解できていると、問われ方が変わっても大丈夫ですね。

 

では開成の文脈を確認しましょう。

〈生徒〉

はい。

先生最初の〜には、親友の本来の意味を入れることになりますよね。

その上で、後の〜の親友の意味を本文で調べれるということですね。

〈先生〉

その通りです。

では、文脈上の「親友」はどんな意味になっていますか。

〈生徒〉

直前に「ふたり組で過ごすようになった」とあるので、いつも一緒に過ごす友達ということがわかります。

でも、もしそうだったら「 」をつける必要はないので、直後の段落にある「見て見ぬふりをする」や(中略)の後の楽器決めのところで、カナに気をつかって自分のやりたい楽器をやらなかったことをヒントに考える必要があると思います。

〈先生〉

はい。お見事です。では、どうまとめましょうか。〈

いつも一緒にいるけれども、本音で語り合える友ではないという意味。

〈先生〉

内容的には問題ありませんが、答えに直すのが難しいですね。

設問に「〜という意味ではなく、〜という意味。」で答えなさいとあることと、解答欄が1行であることを加味して書き直してみましょう。

〈生徒〉

何事も打ち明けられる友という意味ではなく、いつも一緒にいるだけの表面的な友という意味。

〈先生〉

いい答えですね。いつも一緒にいるという意味や、本音を隠して付き合っている意味がうかがえる内容になっています。

このように、どこを根拠にして答えているかが明確に伝わる答えを書くことは大切なことです。

 

 

 

 

開成中の国語(2020年度入試解説をゆっくりやっていきます)

2020年度開成中解説

 

〈先生〉

それでは、開成中の解説を行います。

この年は、合格者平均点が51.5点(60.6%)、受験者平均点が42.3点(49.8%)でした。

合格者平均点と受験者平均点との差が9.2点、算数の差が10.9点なので、国語でもかなりの差がつくと思っていいですね。

国語の得意な生徒にとっては有利な学校です。

この年は、算数理科社会が受験者平均でも国語で合格者平均プラス5点とれば合格できます。

そう考えるとなんとかなりそうな気がしますよね。

では、1問ずつ丁寧に見ていきましょう。

〈生徒〉

先生、よろしくお願いします。

算数が苦手なので不安でしたが、なんとかなるような気がしてきました。

国語は比較的得意ですが、しっかりと磨きをかけたいと思います。

〈先生〉

はい。

では一番の問一です。

 

問一 傍線1「同じ班になった『ひなちゃん』という子と仲良くなった」とありますが、めぐ美は、ひなっちと出会ったことで、どのように変わりましたか、説明しなさい。

 

これは変化を問われたもので、丁寧にたどれば確実に点をとれる問題です。

〈生徒〉

確かに、これは比較的易しく感じました。

変化を問われた問題は何度かやったことがあります。

変化の前、変化のきっかけ、変化の後とを整理して答えればいいんですよね。

〈先生〉

さすがだね。しっかりと勉強しているが伝わってきます。答えの型は、まさにその通りです。

①変化前

②きっかけ

③変化後

この3点を書けばいいんですね。ただし、今回の場合は設問で「ひなっちと出会ったことで」でと変化のきっかけは示されているので、②を書く必要はありません。

では、あなたの答えを教えてもらえますか。

〈生徒〉

答え

未知の世界が広がる本を読むのが好きな内気な子だったが、ひなっちの影響で活発になり友達も増え自信が持てるようになった。

〈先生〉

ちゃんと的を射ていますね。自分なりの工夫も見られるし素晴らしい答えです。

どんなふうに考えたか教えてもらえますか?

〈生徒〉

はい。まず、設問で「ひなっちと出会った」前と後での「めぐ美」の変化を意識して本文を確認しました。

まず変化前のポイントとして、以下の点を押さえました。

・「本が愉しかった頃のことを思い出した。せいぜい小学校の低学年くらいのことだった」

・「膝の上でそっと開くと知らない世界が広がった」

・「低学年の頃の自分は、大人数でわあっと盛り上がるノリには気後れした」

最初の2点からは、本が好きだということがわかります。

そして最後の1点からは、内気な子ということがわかりました。

これをつなげると、「本を読むのが好きな内気な子」となりますが、わざわざ「知らない世界が広がった」と本が好きな理由も書かれているので、それも触れた方がいいと思って、答えの前半を次のようにしました。

「未知の世界が広がる本を読むのが好きな内気な子だったが」

〈先生〉

「未知の世界が広がる」という表現を入れたのは見事ですね。「内気な子」のレベルは開成受験者であれば5年生でも書ける言葉ですからね。本を読む理由も入れてきたのはとってもいいですね。

では、後半をお願いします。

〈生徒〉

はい。次に変化後のポイントを以下のとおり考えました。

・「めぐ美も彼女と同じく『人気者』というポジションの端っこにいた」

・「友達は自然と増えていったし、盛り上がることも楽しめるようになってきた」

・「めぐ美は鬼ごっこやドロケイで活躍したし、友達から、友達の多い子だと思われるようになったら、学校が楽しくなった。その自信は、本からでは、得られないものだった」

体を使う外遊びで活躍しているところから活発な子になっていることがわかります。

また、友達が増えて学校が楽しくなり自信が持てるようになったこともわかるので、次のようにまとめました。

ひなっちの影響で活発になり友達も増え自信が持てるようになった。

〈先生〉

的確ですね。

これなら十分に合格点はとれますね。

では、一緒に文章を振り返ってみましょう。

傍線を含む段落の直前の段落からみます。

 だけども次へのステップを、彼女は逃してしまうのだ。本を読んでいると、ミイ姉に「ネクラ」とか「キモい」と言われたり、読んでいた本を取り上げられて隠されたりしたせいだとも言えるが、それだけでなく、めぐ美自信が性格を変えたかった。

いかがですか。

気になる言葉はありませんか?

〈生徒〉

先生、最後の「めぐ美自身が性格を変えたかった」という表現が気になります。

彼女は本が好きな自分を受け入れきれていない。そんな気がします。

〈先生〉

いいところに気づきましたね。

そこまでわかっていたら、素朴な疑問がわきますよね。

〈生徒〉

はい。なぜ、めぐ美は自分の性格を変えたかったのでしょう?

本を読むのが好きなのに、内気な自分をどこかで否定したいと思っていたのがなぜかとても気になります。

〈先生〉

素晴らしいです。

あなたはそうやって自分で考えを進められるのが強みですね。

文章を読んでいるときに抱いた疑問の答えを考えていくことが、本文を深く読み取るために必要なことなのです。

では、傍線の次の一文から読み進めましょう。  

 運動神経抜群で、男子より足が速いひなっちは、本など読まなかった。休み時間を告げるチャイムが鳴ると、真っ先に教室から飛び出してゆくような子だった。ドロケイでも脱走ゲームでもいつも大活躍のひなっちは、クラスの人気者だったから、そんな彼女に声をかけられて、嬉しかった。

いかがでしょう。ここで気になる表現はありますか。

〈生徒〉

「本など読まなかった」の「など」がちょっと気になります。「は」でもよかったと思うんです。それをわざわざ「など」にしたのには意味があるような気がします。

〈先生〉

いいところに気づきましたね。そうやって文の細部、特に助詞に気がいくようになるというのは素晴らしいことです。

では、ここで「など」を辞書で引いてみてください。

気になった言葉はすぐに辞書を引く。そんな習慣をつけられると大きな財産を得ることになりますよ。

〈生徒〉

はい。『明鏡』という辞書をお母さんが持っていたので、それを見てみます。

①類似の物事の中から例として示す。

②他にもあることを含みながら、特に一つを取り上げる。

③《否定的な表現を伴って》と取るに足りないものとして取り上げて否定の意を強める。

④《活用後の言い切りの形に付いて、発言や思考の表現を伴って》おおよその内容を反発の気持ちを込めて示す。  

先生、これは③ですね。めぐ美が本を取るに足りないものとして否定的にとらえているということが、この「など」から読み取れるのですね。

これでますます気になりました。

なぜ、めぐ美は自分の好きな本を否定しようとするのか、本好きな自分を変えたいと思うのか。

〈先生〉

いいですね。では、次の段落です。

 ひなっち、めぐ、と呼び合うようになった頃、めぐ美も彼女と同じく「人気者」というポジションの、端っこにいた。ひとりで本を読むのは寂しいこと、実際寂しくなくても、寂しそうにみられることだという考えを、めぐ美は自分に植えつけた。

ここで気になる表現はありますか?

〈生徒〉

「ひとりで本を読むのは寂しいこと、実際寂しくなくても、寂しそうにみられることだという考えを、めぐ美は自分に植えつけた」というところから、本当はめぐ美は本を読むのが好きだったのだとわかります。それなのに、本を読むのはいけないことだと無理して思い込もうとしていたとわかります。

〈先生〉

なぜ、そんなふうに思い込もうとしたのでしょうか。

〈生徒〉

「人気者」というポジションにいたかったからでしょうか。

〈先生〉

自分の考えに自信が持てないようですね。

ものを考える時の基本は、他の可能性と比べることです。

もし、めぐ美が本を読むのはいけないことだと思い込まなかったらどうなるかと考えてみるのです。

〈生徒〉

そうしたら、休み時間に本を読むことになって、「寂しそうにみられる」自分に戻ることになります。

そして、それは「人気者」というポジションから外れることになる。

やっぱり、「人気者」というポジションにいたかったからだとわかります。

先生、他の可能性と比べるってすごいですね!

先生、それからまた疑問がわいてきました。

なぜ、めぐ美は自分の好きなことをがまんしてでも「人気者」というポジションにこだわったのでしょう。

〈先生〉

今の質問は見事ですね。

こうやって疑問を持ちながら文章を読むことができたら、読解は簡単になりますよ。

「問い」があるから「答え」があるのです。

疑問を持つから読解が生まれるということなんですね。

では、その疑問を持ちながら次の文を読んでみましょう。

 低学年の頃の自分は、大人数でわあって盛り上がるノリには気後れした。だけど、ひなっちに引っ張られて遊んでいるうちに、友達は自然と増えていったし、盛り上がることも楽しめるようになってきた。めぐ美は鬼ごっこやドロケイで活躍したし、友達から、友達の多い子だと思われるようになったら、学校が楽しくなった。

〈生徒〉

先生、今の最後の一文がとても重要だと思います。

「友達の多い子だと思われるようになったら、学校が楽しくなった」ということは、それまでめぐ美は学校が楽しくなかったということですよね。本を読むのが好きな寂しそうな子と思われていて学校が楽しくなかったけど、友達の多い子だと思われるようになって学校が楽しくなった。

友達もほとんどいなくて学校が楽しくなかったので、自分の性格を変えたかった、好きなことを我慢してでも「人気者」というポジションにこだわったということなんですね。

〈先生〉

そして、この段落の最後の一文につながります。

 その自信は、本からでは得られないものだった。

さあ、それでは改めて変化の前と後とを整理してみましょう。

最初にまとめた内容を確認しましょう。

・「本が愉しかった頃のことを思い出した。せいぜい小学校の低学年くらいのことだった」

・「膝の上でそっと開くと知らない世界が広がった」

・「低学年の頃の自分は、大人数でわあっと盛り上がるノリには気後れした」

これにどんな内容が加わりますか。

〈生徒〉

・友達もほとんどいなくて学校が楽しめなかった。

・そんな自分の性格を変えたかった。

〈先生〉

いいですね。

では、変化後です。

・「めぐ美も彼女と同じく『人気者』というポジションの端っこにいた」

・「友達は自然と増えていったし、盛り上がることも楽しめるようになってきた」

・「めぐ美は鬼ごっこやドロケイで活躍したし、友達から、友達の多い子だと思われるようになったら、学校が楽しくなった。その自信は、本からでは、得られないものだった」

あとは、答えをまとめるだけです。

では、答えを書いてみてください。

 

 

 

国語が得意になる文章の読み方(第15回)

『虔十公園林』の第15回目です。

 

 今回は、作者が話を面白くするために張っていた伏線が明らかにされます。どんな伏線があったかを思い出しながら読んでみてください。

 

《本文》

 ところが次の日虔十は納屋で虫喰い大豆(まめ)を拾っていましたら林の方でそれはそれは大さわぎが聞こえました。

 あっちでもこっちでも号令をかける声ラッパのまね、足ぶみの音それからまるでそこら中の鳥も飛びあがるようなどっと起こるわらい声、虔十はびっくりしてそっちへ行って見ました。

 すると愕(おどろ)いたことは学校帰りの子供らが五十人も集まって一列になって歩調をそろえてその杉の木の間を行進しているのでした。

 全く杉の列はどこを通っても並木道のようでした。それに青い服を着たような杉の木の方も列を組んであるいているように見えるのですから子供らのよろこび加減といったらとってもありません、みんな顔をまっ赤にしてもずのように叫んで杉の列の間を歩いているのでした。

 その杉の列には、東京街道ロシヤ街道それから西洋街道というようにずんずん名前がついて行きました。

 虔十もよろこんで杉のこっちにかくれながら口を大きくあいてはあはあ笑いました。

 

〈解説〉

 「杉の列はどこを通っても並木道のようでした」という文から思い出してほしい表現があります。ちょっと考えてみてください。

 

 「どこを通っても並木道のよう」と書いてあるのですから、通りがいくつもあることがわかりますよね。通りがいくつもあるということは、杉の木の列がいくつもあるということですね。ところで「並木」を『新明解国語辞典』で引くと、こう書いてあります。「幹線道路に沿って規則的に間隔を置いて植えてある木。」いかがでしょうか。これで、この杉林の間隔がそろっているかがわかりましたね。

 ここまでくると思い出せますでしょうか。

 虔十が木を植えている場面に「実にまっすぐに実に間隔正しくそれを掘ったのでした」と書かれていましたね。

 あの表現は、虔十の几帳面さを表すだけでなく、子供たちが集まってくるための伏線になっていたのです。

 

 さらに、子供たちが集まって行進しやすい杉林にするための伏線が他にもあることに気づけますか。

 ちょっと考えてみてください。

 

 では、解説です。まだ考えたい人は、一旦読むのをやめてくださいね。

 

 さて、虔十の杉林に子供達が集まったのは「次の日」ですね。前日の出来事は、覚えていますか? もし忘れていたらこちらをご覧ください。

 https://tanoshiijuken.hatenablog.com/entry/2021/02/08/182317

 

 虔十は杉林の枝打ちをしたのです。下の方の枝を落としたので、子供達が行進しやすくなったのです。しかも、この杉林はそれほど高いものではありません。杉の上の方に残った枝に生えている葉っぱの緑が「青い服を着た」ように見えているのですね。

 

 では、子供たちが集まる場所としての伏線を整理します。

1)虔十が間隔正しく植えたこと。

→どこを通っても並木道のようになった。

2)野原は下が粘土で杉が育ちにくい場所だった

→丈が九尺ぐらいまでしか育たなかった。

→枝打ちの結果、青い服を着た杉の木も列を組んでいるように見えた。

3)ひとりの百姓が冗談で虔十に枝打ちをしないのかと言った。

→行進しやすい場所になった。

 

 いかがでしたか。

 作者の意図を考えると小説がより面白くなりますよ。

 今回の学びを活かして、自由に考えてみてください。

国語が得意になる文章の読み方(第14回)

『虔十公園林』の第14回目です。

 

丁寧に文章を読んでいくことで見えるものが増えますよね。

こういう喜びを多くの人に味わってもらえたら嬉しいです。

 

今回のブログでは、以下の2点を学びます。

①作者の表現上の工夫。

→対比からの抽象化につながります。

②記述問題のポイント。

→「なぜ」を残すな、ということを学びます。

 

《本文》

 あっちでもこっちでも号令をかける声ラッパのまね、足ぶみの音それからまるでそこら中の鳥も飛びあがるようなどっと起こる笑い声、虔十はびっくりしてそっちへ行って見ました。

 

〈解説〉

この文からはいかにも楽しそうに遊んでいる様子が感じられますね。どんな工夫がされているのでしょうか。

 

号令をかける声

ラッパのまね

足ぶみの音

笑い声

 

このように体言が四つ並んでいるのです。

声がしていた、さらにはラッパのまねまで感じられる。なんて表現ではありませんね。

 

もし、この一文で設問を作るとしたら、「この一文から感じられることを、作者の表現上の工夫を意識して答えなさい」という感じですかね。

答えは、次のとおりです。

体言を四つ並べることによって、そこで遊んでいる人たちのいかにも楽しそうな様子が臨場感をもって伝わってくる。

 

いかがでしょうか。ちょっとした一文ですが、作者の工夫を意識して読むことって楽しいですよね。

 

それから、この一文の最後にあった「行って見ました」ですが、「行ってみました」ではないのですね。こうやって他の表現と対比させると、理解できることがありますね。

「〜してみる」というのは、ためしに…する、という意味になります。でも、今回は「行って見ました」なので、行って、そこで見ましたという感じも加わりますね。何が起きているのかを確かめるためにためしにそこへ行き、実際に自分の目で見た、というふうに感じることができます。

こんなふうに、対比させるとそれまで気づかなかったことを考えることができるかもしれません。その練習だと思ってくれれば十分です。

 

《本文》

 すると愕(おどろ)いたことは学校帰りの子供らが五十人も集まって一列になって歩調をそろえてその杉の木の間を行進しているのでした。

 

〈解説〉

これはまさに驚きですよね。

杉林に五十人もの子供たちが集まって杉の木の間を行進しているのです。

 

さて、ここで一問作ってみましょう。

「なぜ、虔十は愕いたのですか。説明しなさい」

 

そんなの簡単だよ。

学校帰りの子供らが五十人も集まって一列になって歩調をそろえて杉の木の間を行進していたから。

これが正解です! と考える人も多いですよね。

 

ここで一つ、みなさんに記述問題の答えを書くときのポイントをお伝えします。

それは、「なぜ? を残さない」ということです。

 

今回は、虔十が愕いた理由を聞かれた問いです。

この答えだと、なぜ子供らが五十人も集まって杉の木の間を行進していると愕くのかという疑問が残ります。

そうなのです。これでは、愕いたきっかけを答えただけなのです。

一度本文を忘れて、愕くとはどういうことかを考えてみてください。それは、予想外のことが起きてびっくりしている状態ですよね。

ですから、先程の答えが予想外のことだったということを書き加える必要があるのです。

 

答えは、実際に自分で書いてまとめてみましょう。

国語が得意になる文章の読み方(第13回) 最後にメッセージがあるので是非お読みください。

『虔十公園林』の13回目です。

今回は、一緒に考えながら読み進めましょう。

本当に単純なことなのだけれど、実に大切なこと。

これをお伝えしたいと思います。

是非、最後までお読みください。

 

《本文》

 下草はみじかくて綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見えました。

 ところが

 

〈問い〉「ところが」に続く一文を想像して書いてください。

 

是非、実際に書いてみてください。

 

 

 

 

 

 

〈ねらい〉

この問いがあることによって、「下草」が「綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見え」る場所をイメージしましたよね。しかも、それがどんな場所かを考えたはずです。つまり、抽象化しようとしたのです。

この思考があると、続く表現を読んだ時に「読解」が生まれるのです。

 

《本文》

 ところが次の日虔十は納屋で虫喰い大豆(まめ)を拾っていましたら林の方でそれはそれは大さわぎが聞こえました。

 

〈解説〉

いかがでしょうか。「ところが」の続きは「大さわぎ」でしたね。ということは、「ところが」の前に書かれているべき内容は「大さわぎ」の反対になりますね。つまり、静かでのんびりした感じだったのです。

 

では、改めて「下草はみじかくて綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見えました。」という文を考えてみましょう。

まず「綺麗」な場所に「仙人たちが」いることがわかります。「仙人」って一般の人々が暮らしている世界から離れて生きている人で、特別な力を持っていると言われている人なんです。神様のような人と考えるのがわかりやすいかもしれません。神様のような人たちが綺麗な場所にいる。そこは普通の人々がいるごみごみした世界とは違うということですよね。こうやって対比させると、静かで落ち着いた雰囲気を読み取ることができますね。

次に「碁でもうつ」を考えてみましょう。ここでも対比することで、その言葉を考えます。「碁」を「うつ」とは違いますよね。「碁でもうつ」という表現から、別に他のものでもよかったのということがわかります。つまり、真剣な勝負として碁をうつのではないということがわかります。一つ碁でもうって遊ぼうか、というような軽い感じがイメージされます。

以上2点をまとめると、静かでのんびりとした感じという読解ができますね。

 

さて、ここから学んでほしいことをお伝えします。

簡単にいうと接続詞を意識して本文を読んでほしいということです。

 

今回の「ところが」を意識し後との関係を確認することで、「ところが」の前の部分の読みを深めることができました。

そして、読みを深めるために対比した上での抽象化が大切だということもお伝えできたのではないかと思います。

 

ちょっとしたことを意識するかどうかで読解の深さが決まります。

でも、国語は意識すべきことが本当に少ないのです。

 

・対比からの抽象化で読みを深める。(見方を変えて別の情報を得ることと重なります)

・不足している情報を考える。

・筆者が言おうとしていることを考えながら読む。(これは当たり前ですね)

・接続詞を意識して読む。(これも当たり前)

・同じ言葉、同じような言葉を意識して読む。(これまた当たり前)

 

 本当にこの程度のことです。

あとは、これを徹底するだけなんです。

単純だからこそ応用も利くし、誰でも定着できるようになります。

しかも、見方を変えて別の情報を得たり、不足している情報を考えたりなどは算数の思考と同じなのです。ですから、小学校で普通に授業についていけている子であれば、授業の復習を繰り返しているだけで、2年もあれば誰もが御三家を目指せるようになります。

 

だから、もう一つこだわってほしいのが語彙なのです。

本は読んでいた方がいいです。漫画でもいいです。活字にふれること、言葉にふれることが大切なのです。家庭内で保護者様が意識できることとして最も簡単なのは、難しい言葉を言った後で言い換えることです。これは確実に語彙が増えます。

 

語彙が増えていけば合格はより確実になると思ってください。

今は塾の中では普通でも、御三家に合格することだって十分に可能です。

是非がんばってください。

国語が得意になる文章の読み方(第12回)80字の記述問題に挑戦!

「虔十公園林」の続きです。

 今回は心情把握の記述問題を解説します。80字の記述です。

 男子の難関校を受ける生徒と、女子の御三家に続く学校を受ける生徒には是非解いてもらいたいと思います。

 

《本文》

 ある朝虔十が林の前に立っていますとひとりの百姓が冗談に言いました。

「おおい、虔十。あの杉ぁ枝打ぢさなぃのか。」

「枝打ぢて言うのは何だい。」

「枝打ぢつのは下の方の枝山刀で落とすのさ。」

「おらも枝打ぢするべがな」

 虔十は走って行って山刀を持って来ました。

 そして片っぱしからぱちぱち杉の下枝を払いはじめました。ところがただ九尺の杉ですから虔十は少しからだをまげて杉の木の下にくぐらなければなりませんでした。

 夕方になったときはどの木も上の方の枝をただ三四本ぐらいずつ残してあとはすっかり払い落とされていました。

 濃い緑いろの枝はいちめんに下草を埋めその小さな林はあかるくがらんとなってしまいました。

 虔十は一ぺんにあんまりがらんとなったのでなんだか気持ちが悪くて胸が痛いように思いました

 そこへ丁度虔十の兄さんが畑から帰ってやって来ましたが林を見て思わず笑いました。そしてぼんやり立っている虔十にきげんよく言いました。

「おう、枝集めべ、いい焚ぎものうんと出来だ。林も立派になったな。」

 そこで虔十もやっと安心して兄さんと一緒に杉の木の下にくぐって落とした枝をすっかり集めました。

 

〈問い〉傍線部の虔十の気持ちを80字以内で説明しなさい。

 

〈考え方〉

 この問題は気持ちを説明しなさいと聞かれていますが、すでに傍線で「気持ちが悪くて胸が痛い」と気持ちが書かれているのです。そのため、どうすればいいのか迷った人も出たかもしれません。

 このように、気持ちに傍線が引かれているのに気持ちを問われた場合は、別の言葉を使って詳しく言い換えます。傍線部についてどういうことか説明しなさい、という問いと同じように考えてください。

 とはいえ、気持ちを問われているので、心情把握の考え方にのっとって考えます。

 

 心情把握の考え方はこの動画の後半部で丁寧に説明してありますので、是非ご覧ください。

www.youtube.com

 

 心情把握の問題は、「場面」(「いつ?」と問いかけてきっかけを考える)を把握した上で、「なぜ?」「誰?(それまでの文脈でどんなことのあった人か)」と問いかけていくと答えを出しやすいです。

 

 では、場面です。本文に即していえば、「あんまりがらんとなった」です。では、何が「あんまりがらんとなった」のでしょうか。それは「杉林」です。こうやって、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうする」という当たり前の情報を正しくつかみます。

 杉林があんまりがらんとなったのはなぜでしょうか。それは虔十が枝打ちをしたからです。

これで、場面の整理が終わりました。まとめると以下のとおりとなります。

 

場面=自分が枝打ちをしたために杉林が急にがらんとなってしまったとき

 

 次に、この場面でなぜ「気持ちが悪くて胸が痛む」のか、あるいは、この場面で「気持ちが悪くて胸が痛む」虔十ってどんな人か、と考えます。

 今回は後者の方が考えやすいですよね。虔十はもちろん、杉林を大切に育ててきた人です。ですから、この場面に情報を一つ加えることができます。

 

場面=大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったとき

 

 ここまできたら、あとは「気持ちが悪くて胸が痛む」を言い換えれば終わりになります。

 大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったときに「気持ちが悪く」なっているのです。気持ちが悪いときというのは、いつもと違う感じですよね。ですから、落ち着かないとか違和感を覚えるなどと書けばよいのです。

 最後は「胸が痛む」です。これは、大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったときと、どんなときに胸が痛むのかを考え合わせると浮かんでくるのではないでしょうか。ちなみに「がらんと」というのは、何もなくて、だだっ広く感じられるさまを示します。すなわち、自分がした枝打ちによって、大切な杉林が本来あったものがなくなってしまったと感じていることが示されているのです。これで浮かんでくる気持ちはなんでしょうか。あとは語彙の問題となりますね。

 でも、安心してください。実は今回の引用箇所の後半部にヒントがあるのです。改めて読み返してください。この読解は、男子御三家駒場東邦中では必要になる読み方です。

 ポイントは「やっと安心して」という表現です。「やっと安心し」たのですから、それまで長い間心配していたことがわかります。では、いつ安心したのでしょうか。それはお兄さんの「林も立派になったな」という言葉を聞いたときです。すなわち、虔十は枝打ちをしたはいいけれど林にとっていいことをしたのかわからず心配していたとわかります。

 では、まとめてみます。

〈解答例1〉

大切に育ててきた杉林が自分の行った枝打ちによって急にがらんとしてしまったことで違和感を覚え、本当に林にとってよいことをしたかどうかわからず心配している。

〈解答例2〉

大切に育ててきた杉林が自分の行った枝打ちによって急にがらんとしてしまい落ち着かなくなり、杉林にとってよくないことをしたのではないかと罪悪感を抱いている。

 

 正しく情報をつかんでいけば国語の問題を解くのは難しいことではありません。

 情報を増やすための問いかけと気づき。ここを磨くことが本当に大切です。傍線に不足している「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうする」をつかむこと。そして、「安心」という表現から「心配」していたことをつかんだり、雨が降ると人々が喜ぶという表現から降らなければ喜ばないと考えたりする。つまり、見方を変えて考えること。これが本当に大切なのです。

 不足している情報を考えることと、見方を変えて他の情報を得ること。この2点を意識していけば必ず国語はできるようになりますし、楽しくなります。そうすれば、言葉への興味も生まれ自然に語彙も増えていくでしょう。その時は、どんな難関校でも国語で稼げる状態になっているはずです。

 そして、その時には国語で培ったこの考え方を他の教科でも応用できるようになり、今では考えてもいないような学校の合格すら可能になります。国語はどんな生徒でも得意になります。そうすれば、勉強そのものも得意になっていきます。楽しい受験を始めましょう。

 

 

国語が得意になる文章の読み方(第11回)今回は国語が苦手な生徒向けです。

「虔十公園林」の続きです。

 

 今回は指示語の基本を学べます。

 

《本文》

 その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)ったものは決して平二だけではありませんでした。あんな所に杉など育つものでもない、底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが言っておりました。

 それは全くその通りでした。杉は五年までは緑色の心(しん)がまっすぐに空の方へ延びて行きましたがもうそれからはだんだん頭が円く変わって七年目も八年目もやっぱり丈が九尺ぐらいでした。

 

〈問い〉傍線部「それ」の指す内容を句読点を含んで三十字程度で答えなさい。

 

〈考え方〉

 指示語の問いなので後との関係を確認してから前を見て考えます。中学入試で直前を見れば答えが出るような指示語の問題が出題されることはまずありません。ですから、指示語は直前のものを答える癖のついている人は早いうちに直してしまいましょう。

 「それは全くその通り」と書かれているので、まずは「その通り」どうだったのかを後を読んで確認します。すると、七年目以降は丈が変わらなかったということがわかります。次に、これと同じ内容に当たるのはどこかと考えながら前を見ます。すると、「あんな所に杉など育つものでもない」という箇所だとわかります。答えに指示語が含まれるのはおかしいので「あんな所」がどこかを説明します。もちろん「芝原」です。「あんな所」を「芝原」に変えてみます。すると、芝原に杉など育つものでもない、となります。では、なぜ育たないのかというと、「底が硬い粘土」だからです。以上をまとめると、底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、となります。

 最後のポイントは当てはめて意味が通じるように答えることです。「それ」は「全くその通り」となっているので、何が「その通り」なのでしょうか。底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、と言っていたみんなの意見(考え)が「その通り」だったのです。

 

〈答え〉

底が硬い粘土の芝原に杉など育つものではないというみんなの考え。