国語が得意になる文章の読み方(第13回) 最後にメッセージがあるので是非お読みください。
『虔十公園林』の13回目です。
今回は、一緒に考えながら読み進めましょう。
本当に単純なことなのだけれど、実に大切なこと。
これをお伝えしたいと思います。
是非、最後までお読みください。
《本文》
下草はみじかくて綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見えました。
ところが
〈問い〉「ところが」に続く一文を想像して書いてください。
是非、実際に書いてみてください。
〈ねらい〉
この問いがあることによって、「下草」が「綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見え」る場所をイメージしましたよね。しかも、それがどんな場所かを考えたはずです。つまり、抽象化しようとしたのです。
この思考があると、続く表現を読んだ時に「読解」が生まれるのです。
《本文》
ところが次の日虔十は納屋で虫喰い大豆(まめ)を拾っていましたら林の方でそれはそれは大さわぎが聞こえました。
〈解説〉
いかがでしょうか。「ところが」の続きは「大さわぎ」でしたね。ということは、「ところが」の前に書かれているべき内容は「大さわぎ」の反対になりますね。つまり、静かでのんびりした感じだったのです。
では、改めて「下草はみじかくて綺麗でまるで仙人たちが碁でもうつ所のように見えました。」という文を考えてみましょう。
まず「綺麗」な場所に「仙人たちが」いることがわかります。「仙人」って一般の人々が暮らしている世界から離れて生きている人で、特別な力を持っていると言われている人なんです。神様のような人と考えるのがわかりやすいかもしれません。神様のような人たちが綺麗な場所にいる。そこは普通の人々がいるごみごみした世界とは違うということですよね。こうやって対比させると、静かで落ち着いた雰囲気を読み取ることができますね。
次に「碁でもうつ」を考えてみましょう。ここでも対比することで、その言葉を考えます。「碁」を「うつ」とは違いますよね。「碁でもうつ」という表現から、別に他のものでもよかったのということがわかります。つまり、真剣な勝負として碁をうつのではないということがわかります。一つ碁でもうって遊ぼうか、というような軽い感じがイメージされます。
以上2点をまとめると、静かでのんびりとした感じという読解ができますね。
さて、ここから学んでほしいことをお伝えします。
簡単にいうと接続詞を意識して本文を読んでほしいということです。
今回の「ところが」を意識し後との関係を確認することで、「ところが」の前の部分の読みを深めることができました。
そして、読みを深めるために対比した上での抽象化が大切だということもお伝えできたのではないかと思います。
ちょっとしたことを意識するかどうかで読解の深さが決まります。
でも、国語は意識すべきことが本当に少ないのです。
・対比からの抽象化で読みを深める。(見方を変えて別の情報を得ることと重なります)
・不足している情報を考える。
・筆者が言おうとしていることを考えながら読む。(これは当たり前ですね)
・接続詞を意識して読む。(これも当たり前)
・同じ言葉、同じような言葉を意識して読む。(これまた当たり前)
本当にこの程度のことです。
あとは、これを徹底するだけなんです。
単純だからこそ応用も利くし、誰でも定着できるようになります。
しかも、見方を変えて別の情報を得たり、不足している情報を考えたりなどは算数の思考と同じなのです。ですから、小学校で普通に授業についていけている子であれば、授業の復習を繰り返しているだけで、2年もあれば誰もが御三家を目指せるようになります。
だから、もう一つこだわってほしいのが語彙なのです。
本は読んでいた方がいいです。漫画でもいいです。活字にふれること、言葉にふれることが大切なのです。家庭内で保護者様が意識できることとして最も簡単なのは、難しい言葉を言った後で言い換えることです。これは確実に語彙が増えます。
語彙が増えていけば合格はより確実になると思ってください。
今は塾の中では普通でも、御三家に合格することだって十分に可能です。
是非がんばってください。