2020年度開成中国語解説(パート2)
問二 傍線2「親友」にカギ括弧がついていることで、どのような意味になっていますか。「〜という意味ではなく、〜という意味。」の形で答えなさい。
〈先生〉
これは入試で出題されるカギ括弧の働きの基本形の問題ですね。念のため、その基本を確認しましょう。
次の文を見てください。
いかがですか。何か違和感をいだきませんでしたか。
〈生徒〉
はい。コロンブス自身はアメリカに着いたと思っていなかったので、何か変な気がします。
〈先生〉
さすがですね。では、どこに着いたと思っていたのでしょうか。
〈生徒〉
インドです。だから、そこにいた先住民の人々をインディアンと呼ぶようになった。
〈先生〉
いいですね。だとするとさっきの文は変ですよね。
〈生徒〉
はい、発見がおかしいです。
〈先生〉
素晴らしい。では、どこがおかしいのですか。
〈生徒〉
コロンブスが着いた場所にはすでに人がいたのに発見と言っているのが変です。
〈先生〉
そうですね。発見というのは本来、初めて見つける、という意味があるのです。
もともと人がいた場所に対して発見という言葉を使うのはちょっとおかしいですよね。
それなのになぜ発見という言葉を使ったのかが気になりますよね。
それは、コロンブスのいた社会、すなわちヨーロッパではその大陸のことは知られていなかったのです。
だから、ヨーロッパの視点に立つと発見になったということなんです。
〈生徒〉
まさに、この設問の条件に合いますね。
〈先生〉
さすが!
「〜という意味ではなく、〜という意味。」という形に対応していますね。
最初の〜が、その言葉の本来の意味です。
そして、後の〜が、その文脈で使われている意味になります。
このコロンブスの例で言えば、
「世界で初めて見つけたという意味ではなく、コロンブスのいるヨーロッパの中で初めて見つけたという意味」となります。
今学んだカギ括弧の答えはしっかりと覚えておきましょう。
これを基本にして様々な答え方に応用できるようになります。
例えば、「なぜカギ括弧をつけたのか答えなさい」という問題だったとしましょう。
この場合は、「世界で初めて見つけたという意味ではなく、コロンブスのいるヨーロッパの中で初めて見つけたという意味で使われていることを示すため(意味を持たせるため)」と答えます。
基本が理解できていると、問われ方が変わっても大丈夫ですね。
では開成の文脈を確認しましょう。
〈生徒〉
はい。
先生最初の〜には、親友の本来の意味を入れることになりますよね。
その上で、後の〜の親友の意味を本文で調べれるということですね。
〈先生〉
その通りです。
では、文脈上の「親友」はどんな意味になっていますか。
〈生徒〉
直前に「ふたり組で過ごすようになった」とあるので、いつも一緒に過ごす友達ということがわかります。
でも、もしそうだったら「 」をつける必要はないので、直後の段落にある「見て見ぬふりをする」や(中略)の後の楽器決めのところで、カナに気をつかって自分のやりたい楽器をやらなかったことをヒントに考える必要があると思います。
〈先生〉
はい。お見事です。では、どうまとめましょうか。〈
いつも一緒にいるけれども、本音で語り合える友ではないという意味。
〈先生〉
内容的には問題ありませんが、答えに直すのが難しいですね。
設問に「〜という意味ではなく、〜という意味。」で答えなさいとあることと、解答欄が1行であることを加味して書き直してみましょう。
〈生徒〉
何事も打ち明けられる友という意味ではなく、いつも一緒にいるだけの表面的な友という意味。
〈先生〉
いい答えですね。いつも一緒にいるという意味や、本音を隠して付き合っている意味がうかがえる内容になっています。
このように、どこを根拠にして答えているかが明確に伝わる答えを書くことは大切なことです。