国語が得意になる文章の読み方(第11回)今回は国語が苦手な生徒向けです。
「虔十公園林」の続きです。
今回は指示語の基本を学べます。
《本文》
その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)ったものは決して平二だけではありませんでした。あんな所に杉など育つものでもない、底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが言っておりました。
それは全くその通りでした。杉は五年までは緑色の心(しん)がまっすぐに空の方へ延びて行きましたがもうそれからはだんだん頭が円く変わって七年目も八年目もやっぱり丈が九尺ぐらいでした。
〈問い〉傍線部「それ」の指す内容を句読点を含んで三十字程度で答えなさい。
〈考え方〉
指示語の問いなので後との関係を確認してから前を見て考えます。中学入試で直前を見れば答えが出るような指示語の問題が出題されることはまずありません。ですから、指示語は直前のものを答える癖のついている人は早いうちに直してしまいましょう。
「それは全くその通り」と書かれているので、まずは「その通り」どうだったのかを後を読んで確認します。すると、七年目以降は丈が変わらなかったということがわかります。次に、これと同じ内容に当たるのはどこかと考えながら前を見ます。すると、「あんな所に杉など育つものでもない」という箇所だとわかります。答えに指示語が含まれるのはおかしいので「あんな所」がどこかを説明します。もちろん「芝原」です。「あんな所」を「芝原」に変えてみます。すると、芝原に杉など育つものでもない、となります。では、なぜ育たないのかというと、「底が硬い粘土」だからです。以上をまとめると、底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、となります。
最後のポイントは当てはめて意味が通じるように答えることです。「それ」は「全くその通り」となっているので、何が「その通り」なのでしょうか。底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、と言っていたみんなの意見(考え)が「その通り」だったのです。
〈答え〉
底が硬い粘土の芝原に杉など育つものではないというみんなの考え。