小5の6月。偏差値で15以上高い学校を目指すことにした少年との会話です。
6月のある日。
少年K君に声をかけました。
「志望校決まった?」
「はい。麻布に行きたいです」
「いいね。Kにぴったりだね。どんなところが気にいったの?」
「学校の自由な校風にひかれました。一度学校を見にいったときに、本当にいろいろな人がいたんです。そんなところにひかれました」
「麻布は入試問題もKに合うんだよ。Kってさ、考えるの好きだよね」
「はい」
「それで、文章を書くのも嫌いじゃない」
「はい」
「だよね。でも、算数はちょっと苦手」
「はい」
「これを見てごらん」と解答用紙を本人に見せました。
「書く問題ばかりですね」
「そうなんだよ。国語だけじゃないんだよ。社会の記述もすごいし、理科だってただ知識を覚えればいいわけじゃないんだよ。論理的に考えて相手にわかるように説明する。そういう力を問われるんだよ。まさにKにぴったりでしょ」
「なんだかとっても楽しそうです」
「そう、最後の決め手は合格点が高くないこと。つまりね、仮に算数が得意にならなかったとしても、残りの3教科で挽回可能っていうことなんだよ」
「そうなんですか」と目をキラキラと輝かせました。
「じゃあ、Kが合格するのに最も重要なのは国語になるから、国語は得意教科にしようよ。だから、やるべきことは『復習ノート』授業でやったことを文章で説明するようにしよう。そうすれば必ず成績は上がるから。理科と社会は授業でやった内容を家へ帰ってから言葉で説明すること。それはお母さんに聞いてもらってね。それと算数は授業でやった問題は必ず解き直しをすること」
国語はその日以来「復習ノート」をやり続け、小5の夏前までの最高偏差値を10以上上げることに成功しました。算数は易しい問題はそこそこできるけど……という状態を脱することができず入試本番もなんと答えが合っていたのは2つの小問のみ。一緒に受けた筑駒に進学し子は間違えたのが2問だったので、さすがに不合格を覚悟しましたが、見事合格。国語、社会は素晴らしい結果だったということです。
逆転合格への道
小5の夏前であれば15の差でも十分に可能。
1)自分はその学校にふさわしいんだと思い込ませる。
やはり、信じる気持ちが強いというのはたいへん重要です。
しかも成績という結果では信じることができない状況なのです。
信頼できる大人から励まされたら頑張ろうと思いますよね。
ただ、「大丈夫だよ」という言葉だけでも励まされるのですから、
具体的な理由をあげて説明してもらえたら、信じる気持ちはずっと強まります。
そこで、すかさず具体的な行動に落とし込むこと。
そして、その行動を行えているかの点検を行うことです。
2)得意教科を伸ばすことに力を注ぐ。
逆転しなければならない成績をとっている時点で、なんらかの課題を抱えているということです。受験勉強を始めたのが遅いとか、勉強不足で定着していないとかでなければ、苦手教科の克服をしようとすると勉強が嫌いになるか、自分に自信がなくなるかのどちらかになります。そこで、意欲を高めるために得意教科を伸ばしにかかるのがよいです。1教科でもできるようになると、合格する可能性がぐっと高まります。それほど、自信の力は大きいです。
3)人に説明することを復習の最初に行う。
文章で表現する力が最終的には必要なのですが、その前に実際に声に出して説明するのがよいです。言葉にすることで思考がまとまりやすくなるので是非やらせてみてください。最初は下手でもいいんです。同じことをもう1回説明させてみると最初よりずっとよくなったりします。そこで、「前よりもよくなったね。こうやって繰り返すと伸びるのね」と行動をほめてください。