国語の成績を上げる「設問を読む力」第1回
問い 「ますます墓穴を掘った」とありますが、どういうことですか。説明しなさい。
ある難関中の入試問題です。
みなさんは、どんなふうに考えて答えを出しますか?
「ますます墓穴を掘った」ってどういうことかな?
国語が苦手な人の多くはこう考えます。
この考え方をする人は、結局前後を読んで当てはまりそうなものを探して答えを出してしまいます。
その理由は、思考が先に進まないからです。
例えば、次の問いを解いてみてください。
①車は2時間で何km進みますか。
これでは、答えは出せません。
②30kmで2時間だと何km進みますか。
何が30kmか分からないので、これでも答えは出せません。それなのに、きっと時速だろうと考えて答えを出す人もいますよね。
③時速30kmで車が進んでいます。途中で一切止まらずに同じ速さで2時間進むとすると何km進みますか。
これでようやく答えを出せます。
国語の問題は①や②のように情報が不足している問題が多いんです。
①の問題に対して、何km進むのかな? と問いかけても答えは出るはずありません。
情報が不足して、それ以上思考を進めることができないからです。
②の問題に対して、30kmで2時間進んだということは60kmに違いない。
こうやって国語を間違える生徒がたいへん多いです。
本文に書いてないことを自分で勝手に補って考えてはいけません。
何が30kmなのだろう? と問いかけて本文から情報を求めていくのです。
今見たように、正しく考えるためには、情報が必要なのです。
その情報を得るための問いかけを身につけることが国語の力をつける上で最も大切なことなのです。
これだけで国語の成績は劇的に変わります。
それでは、情報を得るための問いかけを説明します。
次の問いを解いてください。
ある日の夕食後、あなたの家庭で起きたことです。
テレビドラマを見終えてリビングを出ようとしたあなたのお姉さんに親御さんが声をかけます。
「今日は早くあがってね」
問い 「今日は早くあがってね」という言葉に込められた親御さんの思いを説明しなさい。
答えとして書くのは難しいかもしれませんが、
どんな思いかはすぐに理解できたのではないでしょうか。
このすぐに理解できた内容を意識的に把握し直しましょう。
どんな手順で理解したのか。
その思考過程をたどります。
「今日は早くあがってね。」
↓何から?
これからお姉さんがしようとしていること
=それって何?
夕食後ちょっと時間をおいてからやることで、「あがる」という言葉と一緒に使われること。
=
風呂
さらに、
「今日は早く」
=見方を変える
昨日は早くなかった
↓だからどうだったのか?
迷惑だった
こんな思考過程をたどった結果、
「昨日はあなたが風呂からあがるのが遅かったせいでちょっと迷惑を被ったので、今日は早く上がってほしいという思い。」
というメッセージが込められていたとわかるのです。
これと同じように、冒頭の問いを考えてください。
次回のブログで説明します。
問、「ますます墓穴を掘った」とありますが、どういうことですか。説明しなさい。
【本日のポイント】
正しく思考するためには、正しい情報が不可欠。
シンプルな問いかけで正しく情報を得よう。
【大学入試への道】
東大の現代文は設問を読めば考え方の道筋が見える。