2020年度 渋谷幕張中1次試験 国語解説(その1)
2020年度 渋谷幕張中1次試験 国語解説(その1)
1)はじめに
中学受験の合否は4教科の合計点で決まります。
だから、科目別の目標点は人それぞれに違うものになります。
それなのに、すべての教科をできるようにしてしまうあまり、勉強に対する自信を失っていくケースが多々あるのが現状です。一人でも多くの方が、自分の成績を正しく把握し、自分の可能性を信じて第一志望校受験に向かえるようサポートしたいという思いでこのブログを書きます。
今回は、渋谷幕張の2020年度の国語の全問解説を行うことで二つのことをお伝えしたいと思っています。
一つは、国語で合格点をとるのは実は難しくないということ。
そして、もう一つは、とるべき設問とそうでない設問との区別を行い、目標点を明確にすること。
渋谷幕張のように合格者平均点がそれほど高くない学校は、1科目でも得意教科があると本当に有利に働きます。国語が得意な生徒は国語でかせぎきれる目標点数を、そして国語が苦手な生徒も、解説を読めば悪くてもこれはとれると思ってもらえる点数を設定しました。今とれていなければならないのではなく、入試本番までにとれるようになっていればよいのです。
このブログを読み切ったときには明るい未来が待っています。
皆様の受験が素晴らしいものとなることを願っています。
2)目標点数
合格者平均点と受験者平均点そして合格最低点
国語 算数 社会 理科 合計
合格者平均点 56.0 61.3 47.4 57.1 221.8
受験者平均点 48.8 45.0 43.1 48.9 185.8
合格最低点 204
国語が得意な生徒の目標点
国語以外の3教科が受験者平均点−5点でも合格する点数を目標とします。
よって、72点になります。
国語が苦手な生徒の目標点
国語が現在苦手でも、今回の解説ブログを通じて学べば渋谷幕張を受けようとしている生徒であれば合格点はとれるようになります。
合格最低点は合格者平均と受験者平均のおよそ半分なので、国語は53点とします。
3)大問1の解説
問一 漢字の読み書き 得意3問中3問、苦手3問中2問を正解すべき問題。
a 採用
b いまし(戒める)
c ごんげ(権化)
「戒める」は中学校で習う字なので読めない可能性あり。
「権化」は『予習シリーズ「漢字とことば」』6年下P.90にも載っているレベルです。
ここで1問しかできなかった方は、漢字の問題集を新たに購入いただき取り組んでください。渋谷幕張中は、今回の「戒める」のように中学校で習う漢字も出題されますので、そこまで載っている問題集をやるのがよいでしょう。お勧めの問題集を載せておきます。
問二 語句の意味 得意・苦手ともに正解すべき問題。
「クリティカル」ということばの意味を問われた問題ですが、知識で解く必要はありません。文脈で判断します。
傍線と答えとの内容がイコールとなる場合は、傍線内部のことばの意味+本文での使われ方を把握して解いてください。
今回は傍線内部のことばの意味を問われているので、それを考える必要はありません。大事なのは、本文での使われ方を把握することです。
具体的に見ていきます。「クリティカル」を含む一文を読むと、「空気」による決定はクリティカルな場面だととんでもないことになりうるということがわかります。また、その例として戦艦大和出撃の話が出てきました。
ここから、大事な関係が読み取れます。すなわち、とんでもないこと=戦艦大和の出撃です。なぜ、戦艦大和の出撃はとんでもないことになるのでしょうか。とんでもないことというのは、常識では考えられないようなことです。戦艦大和の出撃は戦略的に無意味であることが明白だったのですから、とんでもないことと言えるのです。そして、そのとんでもないことが起きたのはクリティカルな場面だったからなのです。
すでに沖縄戦が始まっており、そこへの出撃が無意味であるということは、日本軍にとってたいへんまずい状況であったことがわかります。それがクリティカルな場面なのです。あとは選択肢を見て判断します。答えは危機的になります。
クリティカルって何だろう? 知らない言葉だ、ああどうしよう。こんなふうにあわてなければ解ける問題です。
ポイント①
傍線と答えとの内容がイコールとなる場合は、傍線内部のことばの意味+本文での使われ方を把握して解く。
ポイント②
戦艦大和の出撃=とんでもないこと
このようにイコールが成り立つ場合は、なぜこのイコールが成り立つのかを考える癖をつけよう。コツは語句の意味を考えながら文脈の確認をすることです。とんでもないことってどんなことかな? と考えながら、戦艦大和の出撃ってどうしてとんでもないって言えるんだろう? と本文で確認していくのです。
問三 空欄補充+語句の意味 得意・苦手ともに正解すべき問い。
空欄補充の問いに限りませんが、国語の問題は必ず本文に根拠となる部分があります。まずは前後の内容を正しくつかみましょう。
空欄の前後を見ると、完全な二極にならない状態のものだとわかります。このときに、「何が?」と問いかけることがコツです。
すると、物事には必ず対立する二側面があるが、完全な善、100%の悪はない。ある部分ではよくても、他の視点で考えれば違うというようにという内容を受けて、完全な二極にならないという話につながることがわかります。
「白黒」というのは、「物事の是非。善悪。正しいか正しくないか。また、罪がないか罪があるか」(『大辞泉』より)という意味があります。ですから、答えはオセロになります。仮に「白黒」の意味がわからなくても「二極」とあるので、この選択肢を選ぶのは容易です。
ポイント③
根拠をとらえるときに、「いつ・どこで・誰が(何が)・何を・どのように」という問いかけを癖にしておきましょう。
問四 同内容の説明問題 得意・苦手どちらも△は確実にとること。
A君は太陽のようだ。
この比喩は、A君と太陽とに共通点があるからこそ成り立つものです。たいへん簡単に図式化すれば、A君=太陽、となります。比喩の読解は、この両者の共通点を考えればよいのです。考え方は、太陽をイメージして文脈でのA君に重ねるのです。
今回の問題は、空気=絶対権をもつ妖怪という図式が成り立ちます。ですから、絶対権をもつということの説明と、妖怪の説明の2点が必要になります。
絶対権をもつといういうのは、普通ではありえないことまで行わせる力があるとか、あらゆる議論や主張を超えて人々の決定を支配するなどと答えます。これに、妖怪の感じを加えます。本文のことばを使いつつ、科学的には明らかにできない不可思議な存在というようにまとめます。
この問いは、妖怪の説明までを意識したかどうかで○になるかが決まる問いです。
ポイント⑦
A=Bの図式が成り立っている場合は、共通点を考える癖をつけること。
問五以降は次回をご期待ください。