「 」の特別な使い方を学ぼう!
解説
「 」の用法を問われたものです。
まず最初に「 」の基本的な用法を挙げます。
(1)会話
(2)引用
(3)作品名
次に入試に出題される用法を説明します。
次の①と②の文を見比べてください。
①と②の違いは、発見という言葉に「 」がついているかどうかです。
この2つの文の発見の使われ方の違いを理解することがポイントになります。
発見、という言葉の意味を辞書で引いてみましょう。
「知られていなかったものごとを、はじめて見つけだすこと」(『例解国語辞典』より)
①の文だと文字通り、「はじめて見つけ」たことになります。でも、アメリカ大陸にはもともと人が住んでいたので、「はじめて見つけ」という言い方に違和感を持つ人もいるでしょう。ですから、視点を明確にするためにも「発見」と「 」をつけたのです。すなわち、もともと住んでいた人たちの視点ではなく、コロンブス側の視点。ヨーロッパの人間から見た視点だということを示しているのです。
このように「 」には、一般的な意味で使っているわけではなく、特別な意味合いを付け加えて使っているということを示す働きがあるのです。
では、次に答え方について、コロンブスの例文を使って説明します。
問い ②の文の「『発見』」に「 」がついている理由を説明しなさい。
「『 』がついている理由を説明しなさい」と聞かれていますので、ついているときと、ついていないときの違いを考えます。
「 」がついていなければ、発見という言葉の本来の意味である「はじめて見つけ」たという意味で使われていることになります。しかし、「 」をつけると、ヨーロッパ人としてはじめて見つけたという意味で使われていることになるのです。あとは、この違いを明確にして答えを書くだけです。
解答例 世界ではじめて見つけたという意味ではなく、ヨーロッパ人としてはじめて見つけたという意味で使われていることを示すため。
答えを書くときのポイントをまとめます。
①まず本来の意味を示す。
②次に文脈での意味を書きます。
③「①ではなく②の意味で使われていることを示すため」のようにまとめます。
それでは、お待たせしました。
この考え方を使って、冒頭の問題を解きます。
まず、本来の意味を示します。殺生の意味は、文字通り生き物を殺すことです。しかし、この文では「飼おう」としているだけです。ですから、「殺生」は飼うことを示しているのです。
しかし、これで終わってはいけません。コロンブスのところで「 」の働きを次のようにまとめていました。
このように「 」には、一般的な意味で使っているわけではなく、特別な意味合いを付け加えて使っているということを示す働きがあるのです。
「特別な意味合いを付け加えて」いるというのがポイントなのです。「殺生」が飼うことであれば、殺生という言葉を使う必要はないのです。
ですから、ここでは「殺生」が飼うこととどうつながるのかを説明する必要があるのです。
この文の雀は野生の生き物ですよね。それを飼うということが、どう「殺生」になるかを説明するのです。すなわち、野生動物としての本来の生き方を奪われてしまうことを書かなければいけないということです。
答え 生き物を殺すという意味ではなく、野生動物本来の生き方を奪うという意味で使っていることを示すため。
今回、説明した「 」の用法は、2020年度の開成中でも出題されています。知っていれば短時間で答えを書くことができるはずです。是非、これを機会に正しく覚えてください。
なお、開成中の設問には丁寧に条件がついていました。「〜という意味ではなく〜という意味。」の形で答えなさい。たいへん親切な問いかけでした。
みなさんのお役に立てると嬉しいです。合格へ向けて是非がんばってください。