「国語を得意に!」〜中学入試応援ブログ〜

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国語が得意になる文章の読み方(第4回)

『虔十公園林』第4回です。

 

最難関校を目指す生徒で国語が苦手な生徒、

四谷大塚で偏差値60以下の学校を目指す生徒たちにはためになる内容です。

ここで基本をしっかりと学ぶことが次の問題を解くときに生きてきます。

なお、4・5年生でも十分に理解できますので、是非チャレンジしてください。

 

『虔十公園林』第1回〜第3回その2までのリンク先です。

 第1回

https://tanoshiijuken.hatenablog.com/entry/2020/05/16/212803

第2回

https://tanoshiijuken.hatenablog.com/entry/2020/05/20/085946

第3回

https://tanoshiijuken.hatenablog.com/entry/2020/05/27/114459

第3回その2

https://tanoshiijuken.hatenablog.com/entry/2020/05/29/105840

 

 〈本文〉

 風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑えて仕方ないのを、無理やり大きく口をあき、はあはあ息だけついてごまかしながらいつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立っているのでした。

 

 ようやく読点が出てきました(笑)。

 でも、その分今までよりも一文が長くなっていますね。

 

 では、今回の勉強ですが、まずは表現上の特徴に注目しましょう。

 みなさん改めて本文を読んで、どんな特徴があるか考えてみてください。

 

 いかがですか。○○語がありますよね。そして、それと関連した○○語もあることに気づけるはずです。

 

 「どうと」「チラチラ」は、身ぶり・状態の感じを表して作った言葉で、擬態語(ぎたいご)といいます。「どうと」は風が吹いた音ととらえることも可能です。

 

 「はあはあ」は、動物の音声や物の音を表した言葉で、擬声語(ぎせいご)といいます。

 

 小4の生徒はここまでの知識を頭に入れるだけでも勉強になります。

 ところで、こういう擬態語・擬声語にはどういう効果があるのでしょうか。5・6年生はここまで考えておきたいですね。

 

 効果・はたらきを聞かれたときは、それがなかった場合と比べるのがよいでしょう。

 例えば、次の二つの文を見比べてみましょう。

 

 彼はいつもにこにこしている。(擬態語)

 彼はいつも楽しそうにほほえみを浮かべている。

 

 寺の鐘がゴーンと鳴る。(擬声語

 寺の鐘が低い音で響きわたる。

 

 いかがでしょう。

 擬声語、擬態語を使った方が、すぐに理解できたのではありませんか。

 

 私たちは「にこにこ」という言葉によって、赤ちゃんがむじゃきに笑っているような様子、その人の内面の温かさが直接伝わってくるようなそんな様子が感じられたりします。

 ゴーンは寺の鐘を聞いたことがある人ならすぐに思い出せる音です。

 そうなんです。擬態語・擬声語は言葉と実際の様子や音とに密接な関係があるからこそたいへん理解しやすい言葉なんです。

 

 実際にその様子や音が感じられるような生き生きとした臨場感を与えてくれる。そんな言葉なんですね。

 

 でも、擬態語・擬声語はみなさんにとっては身近な言葉ですよね。「ギャー」「キャー」とかよく言ったりしませんか? 漫画ではよく使われていますよね。言葉で丁寧に説明するより、絵と擬態語・擬声語を使った方が生き生きとした感じが伝わりますよね。その場に臨んでいる感じ、まさに臨場感を味わえますよね。

 

 「風がどうと吹いて」からは風の音に加えて、強く吹く風が感じられるような気がしませんか。「チラチラ光る」という表現からは、風を受けてぶなの葉がひるがえり、その間から光が差し込んでくる感じが見えてくるようです。

 擬声語・擬態語を使いながら、読者の聴覚・触覚・視覚に訴えながら生き生きとした臨場感を与えてくれる表現になっていることがわかります。

 

 以上、表現上の特徴として擬態語・擬声語を学びました。

 

では、次にいきます。

 

 前回までで勉強したとおり、虔十は自然にふれるのが大好きでした。

 

 「杜の中や畑の間をゆっくりあるいている」

 「雨の中の青い藪を見てはよろこんで」

 「青ぞらをどこまで翔けてゆく鷹を見付けてははねあがって手をたたいて」

 

 これに今回の「風がどうと吹いてぶなの葉がチラチラ光るときなどは虔十はもううれしくてうれしくてひとりでに笑えて仕方ない」「いつまでもいつまでもそのぶなの木を見上げて立っているのでした」という表現が加わり、虔十がいつのどんな自然もたまらなく好きであるということがより強調されることになりました。

 

 なお、「うれしくてうれしくて」「いつまでもいつまでも」のように同じ言葉が繰り返される時は、強調されていることを読み取ります。

 「いつまでもいつまでも」「ぶなの木を」おまけに「見上げて立っている」ことができるのですから、虔十がそれほど自然を見ていることが好きなのだということがわかります。

 

 それでは今回の最後は前回学んだことを確認して終わります。

 まずは、本文の続きをご覧ください。

 

〈本文〉

 時にはその大きくあいた口の横わきをさも痒いようなふりをして指でこすりながらはあはあ息だけで笑いました。

【問い】なぜ虔十は「はあはあ息だけで笑」ったのですか。説明しなさい。

 

【考え方】

 これは虔十の意図的な行動です。何かねらいがあってやっている行動になります。

 ですから、「そうしないとどうなるか」「そうするとどうなるか」の順番で考えていきます。

 

 「そうしないとどうなるか?」

 「はあはあ息だけで笑」わないということは、声を出して笑うことになります。つまり、声を出して笑うのはまずかったのです。声を出して笑ってしまえば、皆に気づかれますよね。

 

 「そうするとどうなるか?」 

 声を出して笑わなければ、直前に「さも痒いようなふりをして指でこすりながら」とも書いてあるので、笑っているのをごまかすことができます。

 

 答えを書いていきます。

 今回は字数指定が特にないので、答えの最後を固めてから付け加えていきます。

 すでに見たとおり、答えの最後は「笑っているのをごまかすため」となります。

 

 では、なぜ「笑っているのをごまかす」必要があったのかを考えます。

 前回の文章で見たとおり、虔十が笑わないふりをするようになったのは、子供らがばかにして笑うからでした。

 

 ここまでをまとめると答えは次のとおりになります。

 子供らに馬鹿にされないように笑っているのをごまかすため。

 

 この答えを見て、他に必要な情報はないかを考えてください。

 不足しているものがあれば付け加えていかなければなりません。

 

 なぜ、虔十は笑っているのでしょうか。

 それは自然を見て一人でに笑いが出てきてしまうからです。

 

 この情報を加えると次のとおりになります。

 

【答え】

 子供らに馬鹿にされないように、自然を見てひとりでに出てきてしまう笑いをごま 

 かすため。

 自然を見てひとりでに出てきてしまう笑いをごまかして、子供らに馬鹿にされない

 ようにするため。こちらでもOKです。

 

 

本日のまとめ

1)擬声語・擬態語

 生き生きとした臨場感を与えてくれる。

2)意図的な行動

 そうしないとどうなるか。

 そうするとどうなるか。

 この順番で考える。

3)記述の答えの書き方

 最後の部分から考えて、必要な情報を加えていく。

4)効果・はたらきを問われた場合

 それがなかったときと比べる。

 この考え方は、困ったときは常にやる。そんなふうに思ってください。