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国語が得意になる文章の読み方(第10回)

今日は久しぶりに『虔十公園林』の続きです。

 

本文を読むときにやってほしいのは、自問自答です。

今回の文章ではどのように行えばよいのかを中心に進めます。

 

〈本文〉

 その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)ったものは決して平二だけではありませんでした。

 

 「その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)った」の「嘲笑(わら)った」が「笑った」ではないね。「嘲笑」なのだから馬鹿にしてるってことがわかるね。

 そうだ。そういえば、この杉を植えた野原は杉を植えても成長しないと虔十の兄さんが言っていたな。

 「平二だけでは」ない、ということは他の人も馬鹿にしていることが読みとれるね。では、他の人って誰なんだろう? 平二以外もこの芝原が杉を植えても成長しないところだというのはみんなが知っていることなのかもしれない。

※「あざ笑う」「嘲笑」は知っておいてほしい言葉です。

※「芝原」が以前書かれていた「野原」と同じであることに気づきたいです。文章は読み進めるものではなく振り返るものだ。この意識を持ちながら文章を読むと、この程度のことは意識できるようになります。

 

〈本文〉

あんな所に杉など育つものでもない。底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが言っておりました。

 

 芝原に杉を植えても成長しないのは底が硬い粘土だったからなんだね。それから「みんな」が言うのだから、やっぱりそれはそこに住む人にとっては周知の事実だったんだ。そして、虔十は「やっぱり馬鹿は馬鹿だ」と書かれているので、虔十がみんなに馬鹿にされていることがよくわかるわ。確かに、最初に「子供らが虔十をばかにして笑う」という表現もあったし、家の手伝いも何もせずただ自然を見て喜んでいる虔十の姿があったよな。

※ここが読みとれると、虔十が野原に植えたいので杉苗を買ってくれと言ったときに兄さんが止めた理由を答えることができます。最初の場面では、成長しないということしか書かれていませんが、ここで成長しない理由がわかります。作問者は制限字数を多くすることで、ここまで読みとれているかを確かめようとするものです。