「国語を得意に!」〜中学入試応援ブログ〜

中学入試の国語を得意にすること、合格方法についてはお任せください。

国語が得意になる文章の読み方(第12回)80字の記述問題に挑戦!

「虔十公園林」の続きです。

 今回は心情把握の記述問題を解説します。80字の記述です。

 男子の難関校を受ける生徒と、女子の御三家に続く学校を受ける生徒には是非解いてもらいたいと思います。

 

《本文》

 ある朝虔十が林の前に立っていますとひとりの百姓が冗談に言いました。

「おおい、虔十。あの杉ぁ枝打ぢさなぃのか。」

「枝打ぢて言うのは何だい。」

「枝打ぢつのは下の方の枝山刀で落とすのさ。」

「おらも枝打ぢするべがな」

 虔十は走って行って山刀を持って来ました。

 そして片っぱしからぱちぱち杉の下枝を払いはじめました。ところがただ九尺の杉ですから虔十は少しからだをまげて杉の木の下にくぐらなければなりませんでした。

 夕方になったときはどの木も上の方の枝をただ三四本ぐらいずつ残してあとはすっかり払い落とされていました。

 濃い緑いろの枝はいちめんに下草を埋めその小さな林はあかるくがらんとなってしまいました。

 虔十は一ぺんにあんまりがらんとなったのでなんだか気持ちが悪くて胸が痛いように思いました

 そこへ丁度虔十の兄さんが畑から帰ってやって来ましたが林を見て思わず笑いました。そしてぼんやり立っている虔十にきげんよく言いました。

「おう、枝集めべ、いい焚ぎものうんと出来だ。林も立派になったな。」

 そこで虔十もやっと安心して兄さんと一緒に杉の木の下にくぐって落とした枝をすっかり集めました。

 

〈問い〉傍線部の虔十の気持ちを80字以内で説明しなさい。

 

〈考え方〉

 この問題は気持ちを説明しなさいと聞かれていますが、すでに傍線で「気持ちが悪くて胸が痛い」と気持ちが書かれているのです。そのため、どうすればいいのか迷った人も出たかもしれません。

 このように、気持ちに傍線が引かれているのに気持ちを問われた場合は、別の言葉を使って詳しく言い換えます。傍線部についてどういうことか説明しなさい、という問いと同じように考えてください。

 とはいえ、気持ちを問われているので、心情把握の考え方にのっとって考えます。

 

 心情把握の考え方はこの動画の後半部で丁寧に説明してありますので、是非ご覧ください。

www.youtube.com

 

 心情把握の問題は、「場面」(「いつ?」と問いかけてきっかけを考える)を把握した上で、「なぜ?」「誰?(それまでの文脈でどんなことのあった人か)」と問いかけていくと答えを出しやすいです。

 

 では、場面です。本文に即していえば、「あんまりがらんとなった」です。では、何が「あんまりがらんとなった」のでしょうか。それは「杉林」です。こうやって、「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうする」という当たり前の情報を正しくつかみます。

 杉林があんまりがらんとなったのはなぜでしょうか。それは虔十が枝打ちをしたからです。

これで、場面の整理が終わりました。まとめると以下のとおりとなります。

 

場面=自分が枝打ちをしたために杉林が急にがらんとなってしまったとき

 

 次に、この場面でなぜ「気持ちが悪くて胸が痛む」のか、あるいは、この場面で「気持ちが悪くて胸が痛む」虔十ってどんな人か、と考えます。

 今回は後者の方が考えやすいですよね。虔十はもちろん、杉林を大切に育ててきた人です。ですから、この場面に情報を一つ加えることができます。

 

場面=大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったとき

 

 ここまできたら、あとは「気持ちが悪くて胸が痛む」を言い換えれば終わりになります。

 大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったときに「気持ちが悪く」なっているのです。気持ちが悪いときというのは、いつもと違う感じですよね。ですから、落ち着かないとか違和感を覚えるなどと書けばよいのです。

 最後は「胸が痛む」です。これは、大切に育ててきた杉林が自分のした枝打ちによって急にがらんとなったしまったときと、どんなときに胸が痛むのかを考え合わせると浮かんでくるのではないでしょうか。ちなみに「がらんと」というのは、何もなくて、だだっ広く感じられるさまを示します。すなわち、自分がした枝打ちによって、大切な杉林が本来あったものがなくなってしまったと感じていることが示されているのです。これで浮かんでくる気持ちはなんでしょうか。あとは語彙の問題となりますね。

 でも、安心してください。実は今回の引用箇所の後半部にヒントがあるのです。改めて読み返してください。この読解は、男子御三家駒場東邦中では必要になる読み方です。

 ポイントは「やっと安心して」という表現です。「やっと安心し」たのですから、それまで長い間心配していたことがわかります。では、いつ安心したのでしょうか。それはお兄さんの「林も立派になったな」という言葉を聞いたときです。すなわち、虔十は枝打ちをしたはいいけれど林にとっていいことをしたのかわからず心配していたとわかります。

 では、まとめてみます。

〈解答例1〉

大切に育ててきた杉林が自分の行った枝打ちによって急にがらんとしてしまったことで違和感を覚え、本当に林にとってよいことをしたかどうかわからず心配している。

〈解答例2〉

大切に育ててきた杉林が自分の行った枝打ちによって急にがらんとしてしまい落ち着かなくなり、杉林にとってよくないことをしたのではないかと罪悪感を抱いている。

 

 正しく情報をつかんでいけば国語の問題を解くのは難しいことではありません。

 情報を増やすための問いかけと気づき。ここを磨くことが本当に大切です。傍線に不足している「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どうする」をつかむこと。そして、「安心」という表現から「心配」していたことをつかんだり、雨が降ると人々が喜ぶという表現から降らなければ喜ばないと考えたりする。つまり、見方を変えて考えること。これが本当に大切なのです。

 不足している情報を考えることと、見方を変えて他の情報を得ること。この2点を意識していけば必ず国語はできるようになりますし、楽しくなります。そうすれば、言葉への興味も生まれ自然に語彙も増えていくでしょう。その時は、どんな難関校でも国語で稼げる状態になっているはずです。

 そして、その時には国語で培ったこの考え方を他の教科でも応用できるようになり、今では考えてもいないような学校の合格すら可能になります。国語はどんな生徒でも得意になります。そうすれば、勉強そのものも得意になっていきます。楽しい受験を始めましょう。

 

 

国語が得意になる文章の読み方(第11回)今回は国語が苦手な生徒向けです。

「虔十公園林」の続きです。

 

 今回は指示語の基本を学べます。

 

《本文》

 その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)ったものは決して平二だけではありませんでした。あんな所に杉など育つものでもない、底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが言っておりました。

 それは全くその通りでした。杉は五年までは緑色の心(しん)がまっすぐに空の方へ延びて行きましたがもうそれからはだんだん頭が円く変わって七年目も八年目もやっぱり丈が九尺ぐらいでした。

 

〈問い〉傍線部「それ」の指す内容を句読点を含んで三十字程度で答えなさい。

 

〈考え方〉

 指示語の問いなので後との関係を確認してから前を見て考えます。中学入試で直前を見れば答えが出るような指示語の問題が出題されることはまずありません。ですから、指示語は直前のものを答える癖のついている人は早いうちに直してしまいましょう。

 「それは全くその通り」と書かれているので、まずは「その通り」どうだったのかを後を読んで確認します。すると、七年目以降は丈が変わらなかったということがわかります。次に、これと同じ内容に当たるのはどこかと考えながら前を見ます。すると、「あんな所に杉など育つものでもない」という箇所だとわかります。答えに指示語が含まれるのはおかしいので「あんな所」がどこかを説明します。もちろん「芝原」です。「あんな所」を「芝原」に変えてみます。すると、芝原に杉など育つものでもない、となります。では、なぜ育たないのかというと、「底が硬い粘土」だからです。以上をまとめると、底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、となります。

 最後のポイントは当てはめて意味が通じるように答えることです。「それ」は「全くその通り」となっているので、何が「その通り」なのでしょうか。底が硬い粘土の芝原に杉など育つものでもない、と言っていたみんなの意見(考え)が「その通り」だったのです。

 

〈答え〉

底が硬い粘土の芝原に杉など育つものではないというみんなの考え。

 

 

国語が得意になる文章の読み方(第10回)

今日は久しぶりに『虔十公園林』の続きです。

 

本文を読むときにやってほしいのは、自問自答です。

今回の文章ではどのように行えばよいのかを中心に進めます。

 

〈本文〉

 その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)ったものは決して平二だけではありませんでした。

 

 「その芝原へ杉を植えることを嘲笑(わら)った」の「嘲笑(わら)った」が「笑った」ではないね。「嘲笑」なのだから馬鹿にしてるってことがわかるね。

 そうだ。そういえば、この杉を植えた野原は杉を植えても成長しないと虔十の兄さんが言っていたな。

 「平二だけでは」ない、ということは他の人も馬鹿にしていることが読みとれるね。では、他の人って誰なんだろう? 平二以外もこの芝原が杉を植えても成長しないところだというのはみんなが知っていることなのかもしれない。

※「あざ笑う」「嘲笑」は知っておいてほしい言葉です。

※「芝原」が以前書かれていた「野原」と同じであることに気づきたいです。文章は読み進めるものではなく振り返るものだ。この意識を持ちながら文章を読むと、この程度のことは意識できるようになります。

 

〈本文〉

あんな所に杉など育つものでもない。底は硬い粘土なんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが言っておりました。

 

 芝原に杉を植えても成長しないのは底が硬い粘土だったからなんだね。それから「みんな」が言うのだから、やっぱりそれはそこに住む人にとっては周知の事実だったんだ。そして、虔十は「やっぱり馬鹿は馬鹿だ」と書かれているので、虔十がみんなに馬鹿にされていることがよくわかるわ。確かに、最初に「子供らが虔十をばかにして笑う」という表現もあったし、家の手伝いも何もせずただ自然を見て喜んでいる虔十の姿があったよな。

※ここが読みとれると、虔十が野原に植えたいので杉苗を買ってくれと言ったときに兄さんが止めた理由を答えることができます。最初の場面では、成長しないということしか書かれていませんが、ここで成長しない理由がわかります。作問者は制限字数を多くすることで、ここまで読みとれているかを確かめようとするものです。

中学受験 受験者平均点を合格者平均点にするために!

 今回は、傍線部からいかに根拠をとるかに焦点を当ててブログを書きます。

 国語の点数が安定していない生徒の特徴は、正しく根拠をとらずに答えを出そうとすることです。


 前回のブログでは、傍線部と根拠を重ねるだけで答えが出せる問題を説明しました。

 今回は、傍線部や設問からの根拠のとり方をお伝えします。


 前回よりややレベるの高い内容なので、国語ですでに受験者平均点はとれている人が確実に合格点をとるための道筋をお伝えします。

 駒場東邦・海城・早稲田・芝・城北、豊島岡・吉祥女子などを目指す生徒には特に役に立つことと思います。

 それでは、合格者平均点をとり切るための根拠のとり方を丁寧に説明します。がんばってついてきてください。

 

 豊島岡の入試問題2018年の第1回の1番(論説文)を使って説明していきます。

 本文がなくても大丈夫ですが、手元にあるとわかりやすいでしょうから、四谷大塚の過去問データベースをご覧ください。なくても基本的な考え方はお伝えできるはずです。


問1  傍線1「厳しい社会の荒波に耐えられるように、そして力強く自分の道を切り開いていけるように、あえて心を鬼にして厳しく育てる」とありま

 すが、ここで育てているものは何ですか。本文中から四字で探し、抜き出しなさい。

 

 国語が苦手な生徒がやりがちな自分への問いかけを書きます。

 「何を育てているのかな?」「育てているものは何だろう?」

 こんな感じですね。問われていることをそのまま繰り返しているのです。これでは、わかる子はわかるしわからない子はわからないでしょう。教える側も「よく読んで」などとごまかしたりしがちです。

 

ポイント 不足している情報を得る。

 

 この傍線部では「育てる」の主語がありません。

 主語を考えるために、まずは傍線を含む一文を読みます。

 「かつては日本でも、子どもの将来のために、厳しい社会の〜育てるということがあったが〜」とあるので、主語は日本の親がだということがわかります。また、「子どもの将来のために」していたことだということもわかります。

 

 これで情報が増えました。

 かつての日本の親が子どもの将来のために、あえて厳しくすることで育てているもの。これを探すのです。

 いかがですか。「何を育てているものは何だろう?」とは次元が違いますね。

 

 さらに、もう気づいた方もいらっしゃると思いますが、情報を増やせます。「かつては」とあるのですから、今は違うということがわかりますね。すなわち、今の日本の親たちが育てていないもの。これも意識して探せるのです。


ポイント 見方を変えて考える。

 

 先ほどの文には逆接の「が」の続きがありました。

「一九九〇年代頃から、教育評論家たちが文化的風土の違いを無視して、アメリカ流の言葉で褒める子育てを推奨したため、日本中に『ほめて育てる』『叱らない子育て』が広まった。その結果、教育的配慮に欠けた甘い子育てが横行することになった。」


 ここまで読むとさらに情報が増えます。今の日本の親たちが子どもの将来のことを考えずに、教育的配慮に欠けた甘い子育てをするようになった結果、育たなくなったものを考えるということになります。

 

 この意識を持って本文を読み進めていくと、次の段落に出会います。ちなみに傍線の32行後です。何となく答えを探していたのでは決して見つけることができないところにあるのです。

 

  そのような親(ペットをかわいがるように子どもと親しんでいる親)は、子どもが自立し、親から距離を取っていくべき中高生の年頃になって

 も、子どもから頼られたい、甘えられたいと思い、自立に向けて突き放すことができない。子どもの側も、そんな親の気持ちをどこかで感じ取り、

 自立すると親が淋しがるといった思いをもつようになる。そうしているうちに、いつまでも親に甘え、親を頼る。自立の力の乏しい若者になってい

 く。


 「ほめて育てる」子育てをしてきた結果、「自立に向けて突き放すことができ」ずに、子どもは「自立の力」を育てることができないのです。

 傍線部や傍線部の前後から根拠をとることが大切です。不足している情報や、見方を変えて得られる情報を意識することが大切になります。

 

 では、もう1問。根拠をとる意識があるかないかで決まる問題を見てみましょう。


問3  傍線3「『自分のため』に子どもにやさしくしている」とありますが、どういうことですか。最も適当なものを次のア〜オの中から一つ選び、記

 号で答えなさい。


ア 子どもに厳しくすることで反抗され、結果として自分が傷つけられることを恐れてやさしくしているということ。

ウ 子どもの将来のことを考えず、子どもと共に過ごす間は自分が嫌な思いをしなければいいと思ってやさしくしているということ。


 今回も問1と同じように主語がないので確認していきます。傍線を含む一文を見てみます。


  子どもに嫌われたくないという思いが強い親は、「子どものため」ではなく「自分のため」に子どもにやさしくしているのである。


 この一文の見方を変えると以下の通りになります。

 

  子どもに嫌われてもいいと考える親は、「自分のため」にではなく「子どものため」にあえて厳しくしているのである。


 ここから「子どものため」というのは、問1であったように「子どもの将来のため」であることがわかります。また、直前の段落を読むと、「子どものためを思ったら、たとえ子どもから激しく反発され〜ても、親として厳しく注意しなければならいこともある」という表現からも同じようなことがうかがえます。

 

 では、子どもに嫌われたくないという思いの強い親がやさしくするのがなぜかを考えます。その際にやってはいけないことは、自分の頭で考えることです。とにかく本文に根拠を求めます。


 子どもに嫌われたくない親のしていることは、問1で確認したように「教育的配慮に欠けた甘い子育て」です。それを本文では「目の前の子どもの笑顔が見たい、叱ったりして気まずくなりたくない、一緒に楽しく過ごしていたいという親」と書かれています。

 

 こういう親にとってやさしくしないということは、どういうことにつながるでしょうか。「子どもの笑顔が見」られなくなりますし、「叱」ることで「気まずくなり」ますし、「一緒に楽しく過ご」せなくなります。つまり、自分の望みが叶わないことになります。


 これまでの情報から、傍線を含む一文は、次のように書き換えられることになります。


 子どもに嫌われたくないという思いが強い親は、子どもの将来のためを思って厳しく注意したりすることはなく、自分が叱ることで、子どもの笑顔が見られなくなったり、気まずくなったり、楽しく過ごせなくなるのが嫌なので、子どもにやさしくしているのである。


 この情報が書いてある選択肢を選ぶことになります。正解はウです。


 ここまで丁寧に本文に根拠を求めていなくても、傍線の直前にある「『子どものため』ではなく」が意識されていれば正解を出せる問いです。その一手間をさぼって、「どれが答えかな?」と考えながら、選択肢にいくと見事にはまるのです。


 アを読んだときに、「子どもに厳しくすることで反抗され、結果として自分が傷つけられる」というのは、自分のことを考えていることに当たるから、これが正解のような気がする。こう考えてアにしてしまいがちなのです。


 とにかく本文に根拠を求める。

 そのために、不足している情報を考えることと、見方を変えて情報を得ることとを最低限意識する。

 これだけで本当に点数は変わります。まだ時間はあります。がんばりましょう!

 

 

 

受験国語 これを意識するだけで点数が安定する!

 今回のブログでは、傍線部を説明する選択肢問題の考え方についてお伝えします。

 短期間で得点力を上げるのに最も効率的な問題です。

 国語の点数を安定させたい生徒は、是非ご覧ください。

 

1)傍線部を説明したものとして最もふさわしい選択肢を選ぶとは、どういうことか。

 実は、ここを正確にとらえていないことが安定させられない理由です。

 「説明」というのは、「ある事柄をよくわかるように述べること」という意味ですが、説明するものは多岐にわたります。理由もあれば目的もあるし、心情の場合ももちろんあります。

 傍線部を説明するというのは、傍線の内容をわかりやすく述べるということです。

 単純化していえば、傍線とイコールが成り立つ選択肢を選ぶということになります。

 

 それでは、例題を通じて学びましょう。

 なんと本文を読むまでもなく正解を出すことも可能になるのです。

 

2) 例題①

 「記憶の焦点を合わせるかのように」から読み取れる主人公の様子としてもっとも適当な

ものを次の1~4から一つ選び、番号で答えなさい。

 

 大事なことは、傍線と答えがイコールになるものを選ぶ、ということです。 

 このゴールへ向かう手順が最も大切になります。

 

ポイント 選択肢問題を解く手順「根拠→選択肢」

 この順番を絶対に外さないでください。

 この選択肢あってるかな? と考えながら傍線や本文に戻すことは基本的にはやりません。

 

 では、根拠について具体的に見ていきましょう。

 傍線から得られる情報を考えること。これが最初にやることです。

 ここをおろそかにすると、何となく選択肢を選ぶことになってしまいます。

 

 今回の傍線は「記憶の焦点を合わせるかのように」です。

 本当に単純なことを確認します。ドアを開けるためには、そのドアは閉まっていなければなりません。この程度のことは誰でもわかりますよね。そのことを問題を解く際に常に意識してほしいのです。

 「記憶の焦点を合わせる」ためには、もともと記憶の焦点があっていない状態である必要があるのです。それってどんな状態でしょうか。これは、みなさんも経験があるはずです。記憶をはっきりと思い出せない状態。それが焦点を合わせる前の状態になります。

 「焦点を合わせる」というのは、一点に集中させることです。

 

 この二つを情報をまとめます。

 はっきりしない記憶を明らかにしようと集中しているとなります。

 これで根拠を得られました。実は、傍線部をわかりやすく言い換えただけです。この考え方は、記述問題でも同じだということは覚えておいてください。

 根拠がとれたら、同じ内容の選択肢を選ぶだけです。

 

 では、実際に選択肢を見てみましょう。

 

1 記憶が次第におぼろげになり、自分に残された時間のわずかであることにあせりを感じている様子。

2 幼い頃の思い出が次々に心に浮かび、瑠美に語りつくせないほどであることにとまど

っている様子。

3 遠い記憶をたどり、ある一時期の自分の思い出を正確によみがえらせ瑠美に伝えようと集中する様子。

4 瑠美を説得するために、うすれゆく過去の記憶を一つでも多く明らかにしようと一生

懸命な様子。

 

 1には「焦点を合わせる」ことがふれられていません。

 2は「記憶の焦点を合わせる」こととずれます。

 3は「遠い記憶をたどり」から、記憶がはっきりしないということがうかがえます。また、「自分の思い出を」「よみがえらせ」ようとするのですから、「焦点を合わせ」ていることもわかります。

 4は「うすれゆく過去の記憶」から、記憶がはっきりしないということがわかります。また「一生懸命な様子」には「焦点を合わせる」という表現からうかがえる集中と似た雰囲気が感じられます。だから4を正解にする生徒も出ることになるはずです。

 でも、よく考えてみると「過去の記憶を一つでも多く明らかにしよう」というのは、「焦点を合わせる」ことに重ならないので削れることに気づくはずです。

 この4を選ばないようにすることがたいへん重要なことになります。

 ポイントを再確認します。

 

ポイント 選択肢問題を解く手順「根拠→選択肢」

 

 答えを出す際に重要なことは、本文や設問を読んで得た根拠を選択肢に重ねにいくということです。「記憶の焦点を合わせる」から得られた、はっきりしない記憶を明らかにしようと集中しているという根拠に重なるものを選ぼうとしたらウが出るはずです。

 それを、選択肢を根拠に重ねにいくと、こういう思考が入ってしまうのです。

 「一生懸命な」というのは、記憶を思い出そうとがんばっているのだから「焦点を合わせる」と言えないこともない。すなわち、解釈をしてしまうのです。この解釈がまずいのです。

冷静に考えてください。「焦点を合わせる」は一点に集中させることです。命がけで事にあたるという「一生懸命」とは違いますよね。

 「根拠→選択肢」という順番を忘れないようにしましょう。

 

3)例題② 

問 「そして目の前の雲は、仙蔵の知らないどこか遠くへ行ってしまった」という表現の説

明としてもっとも適当なものを次の1~4から選び、番号で答えなさい。

 

 「そして」から始まっているので、前の文の内容を把握した上で解くのは当然です。が、今回もあえて、傍線部のみで考えてみましょう。

 

 繰り返しますが、「根拠→選択肢」です。

 

 まずは、傍線部から得られる情報を考えます。 

 「目の前の雲は」「どこか遠くへ行ってしまった」と書かれているので、そのことがらは仙蔵にとって好ましくないことだとわかります。しかも、「どこか遠く」に対してわざわざ「仙蔵の知らない」という言葉も書かれています。要するに、仙蔵には関わりの持てない遠いところに「雲」が行くという好ましくないことが起こった、と考えられます。

 この根拠を持って、選択肢に挑みます。なお、すべての選択肢に、「船を雲にたとえ」と書かれているので、根拠は次のとおりに言い換えることが可能になります。仙蔵には関わりの持てない遠いところに船が行くという好ましくないことが起こった

 では、選択肢に重ねにいきましょう。 

 

1 船を雲にたとえ、仙蔵の幼さと、母が外地に行った事情やその目的を知らされていなか

たことを示している。

2 船を雲にたとえ、仙蔵が何も心配せず、おおらかな気持ちで事態を楽観的にとらえてい

たことを感じさせている。

3 船を雲にたとえ、出航するときに強い風が吹いてきたと表現することで、母の去り際の

あわてた様子を表している。

4 船を雲にたとえ、それがどこか遠くへ行ってしまったと表現することで、遠回しに母の

死をにおわせている。

 

 根拠をとった状態で選択肢を見ると4が正解だとすぐ気づけますよね。

 いかがですか。根拠から選択肢に重ねにいくというイメージはつかめましたでしょうか。

 あとは自分の受ける学校の過去問で確かめてみてください。

 

4)今日の最後に 

 今回は、傍線部を説明する選択肢問題について解説をしましたが、結局一番大切なことは「正しく根拠をとる」ことです。どれだけ情報を増やせるかが鍵なのです。

 「焦点を合わせる」という表現から、まだ焦点が合っていないという単純なことを理解することだし、「しまった」という表現から、好ましくないことであるということを確認することなのです。

 

 今まで読み過ごしていた表現を意識できるようになれば、残り期間でびっくりするほど点数が上がります。是非、がんばってください。最後の最後まで伸びます!! 

中学入試、最後の3週間をどう過ごすか。

いよいよ首都圏の中学入試が始まりました。

都内と神奈川の2月1日入試へ向けて残り3週間。

最後の3週間の過ごし方で合否は変わります。

 

ここまで順調に来た生徒は、今までやってきたことをそのまま継続してください。

過去問で合計15点以上とれていて、模試の結果もよければ、合格の可能性はかなり高いです。

合計点の勝負だということを忘れずに目の前の問題に真剣に向き合い続けてください。

 

さて、今回のブログを読んで欲しいのは、まだ合格確実といえない人です。

でも、確実といえないだけで可能性は十二分にあるのです。

最後の3週間で大きく成長する生徒は毎年何人もいます。

そのうちの一人にお子様をするための具体策を以下に記していきます。

 

【国語】

国語はコストパフォーマンスが悪いように思うかもしれませんが、それは人によります。

これまで受験者平均点前後にとどまっていた人は、以下の内容を行うだけで10点以上上がることも普通に起こります。

 1)記述問題対策

過去問を5年分はやりましょう。

①ノートに設問を書いて、模範解答を写す。

②根拠となる箇所を本文にチェックする。

この作業を通じて、問われた内容に対しての根拠のつかみ方と答えの書き方を学ぶことができます。シンプルですが、最も大切な作業で、確実に力が尽きます。

③自由作文は、模範解答を写した後で、例は自分ものに変えて書いてみる。

例を変えることで、どんな問題が来ても答えを書く勇気を得ることができます。ほとんどの学校は書いたことを評価してくれるので、合格につながることもあるかもしれません。

 

2)傍線部の説明や理由を問われた選択肢問題対策

傍線部の説明や理由を問われた問題を間違える人の多くは、以下のように考えています。

「この選択肢あっているかな?」

こう考えながら選択肢を見ると、あっている理由を探し始めてしまうのです。

だから、本文に書いてある言葉が書かれている選択肢を安易に選ぶケースが多くなるのです。

では、どうすればよいのでしょうか。

傍線部説明問題の場合は、傍線部と答えとがイコールの関係になります。ですから、以下の通り復習をしてみてください。過去問で間違えていた選択肢はすべて以下のとおり復習をしてみてください。

①傍線部を写す。

②正解の選択肢の文を写す。

③傍線部と正解とで重なる内容に印をつける。間違えた選択肢のどこがまずいのかを把握すること。

例 

傍線部 私は毎日のように本を読んでいる。

正解  私は読書日課のようになっている。

「本を読ん(む)」と「読書」、「毎日のように」と「日課のように」が同じです。

不正解 私は本を読むのがたいへん好きです。

「毎日のように」に当たるものがありません。ここで、この不正解の選択肢を見て「これあっているかな?」と考えると、「たいへん好き」だから「毎日のように」読むんだから、これは正解だと考えてしまうんです。さすがに、これは簡単過ぎますが、大事なことは傍線部の内容が言い換えられているものを選ぶということです。その際、傍線部の要素をすべて含んでいるものを選ぶようにします。

傍線部の理由を問われた問題も説明問題と基本は同じですが、見なければならないものが少し増えます。まず、傍線の理由に当たる部分を本文に探さなければなりません。それが終わったら、あとは同じ要領で行います。すなわち、①傍線と根拠を写す。②選択肢を写す。③根拠と選択肢の重なる点に印をつける。

この復習を通じて考え方を定着させましょう。これで2問を正解にできれば、5点〜10点変わります。

 

3)傍線部と同じ内容を抜き出す問題対策

ここでお伝えしたいのは、いかに短時間で答えを探すかということです。時間がかかりそうな場合は後回しにする勇気が必要です。

これは、考え方を書いておきます。過去問で実際に確かめてください。もし、ここに書かれている通り解ける場合は、その学校にはうってつけのやり方になります。

〈解法〉

傍線部の前後でヒントを得る。

 

例題 次の文の「日記」と同じ意味の言葉を抜き出しなさい。

私は子どもの頃、うまくいかないことがあると日記を書いた。

〈考え方〉

「日記」=私が子どもの頃に、うまくいかないことがあると書いたもの

これを意識して探します。

すると、こんな文を発見できたりします。

私は大人になっても、嫌なことがあると反省ノートを書いていた。

「大人になっても」ということは「子どもの頃」もそうだったとわかります。

「うまくいかないことがあると」は「嫌ながことがあると」と重なります。

「日記」も「反省ノート」もともに「書」くものです。

 

ここまでは、国語で安定して高得点をとれる人以外は是非やってください。

きっといいことがありますよ。

 

4)国語だけ苦手な生徒

この場合は、毎日15分。長文1題、保護者様と一緒に文章を読んでください。

3)の最後に、「私は大人になっても、嫌なことがあると反省ノートを書いていた」という文を書き、そこで気づけることをメモしました。このレベルでよいので、お子様と一緒に気づけることはないかと考えながら読んでみてください。これで今まで気づけなかった根拠に気づけるようになるはずです。是非、がんばってください。

 

5)国語の得点力を落とさないようにするための工夫

①漢字は日々触れてください。

②2日に1題は長文にふれてください。やらなくなると力は落ちます。最後までやったことのある問題でよいので、解き続けてください。

 

【算数】

まだ合格点に足りない生徒は、一点突破です。

入試に出るのにまだ安定していない単元に集中的に取り組みましょう。

例えば、速さや平面図形などを問題集で何問も解くのです。

一通り終わったら、再度間違えた問題だけ解くようにしましょう。

これは本当に力がつきます。

ここからは過去問で何点とれたかではありません。

1問でも多く解ける問題を増やすことが必要です。

 

【理科・社会】

苦手な生徒は知識の定着につきます。 

社会であれば歴史・地理と分かれている薄い問題集を仕上げきってください。

苦手な生徒はそういう基本中の基本が不十分なのです。

薄いもの1冊を仕上げれば、御三家とそれに準ずる学校以外であれば合格点は確実にとれます。

このやり方で1週間で社会を得意教科に変える生徒が毎年出ます。

理科は計算が苦手という生徒は、算数と同様に、そのような問題を徹底すればよいだけです。ただし、4科合計で合格点をとればよいのだということを忘れないでください。無理なことに時間をかけるのは得策ではありません。

 

お子様が中学生になれば、一緒に勉強するということはほとんどなくなります。

最後の機会です。是非、楽しんでください。

焦りは禁物です。怒りは最悪の結果にしかなりません。

お子様の成長を温かく見守ってあげてください。 

 

 

国語が得意になる文章の読み方(第9回)

前回の続きです。

 

平二が登場してきて言うセリフは何でしょうか?

 

〈本文〉

「やい。虔十、ここさ杉植えるなんてやっぱり馬鹿だな。第一おらの畑ぁ日影にならな」

 虔十は顔を赤くして何か言いたそうにしましたが言えないでもじもじしました。

 すると虔十の兄さんが、

「平二さん、お早うがす。」と言って向こうに立ちあがりましたので平二はぶつぶつ言いながらまたのっそりと向こうへいってしまいました。

 

 

・「やい。虔十」という表現から、平二が偉そうにものを言っていることがわかります。相手に対して威圧的な態度をとっていると言えます。

 

・「やっぱり馬鹿だな」という表現から、虔十は村のみんなに馬鹿にされていることが再確認されます。「やはり」のように、他のことが読み取れる表現は立ち止まって考える癖をつけましょう。「同じく」「相変わらず」「なおも」「いまだに」「まだ」「依然」「今もって」「案の定」……。

 

・「第一おらの畑ぁ日影にならな」は、ここに杉を植えるなという理由になっていることがわかります。もし、本当にここに杉を植えたことへの抗議だと仮定します。みなさんだったら、どんな言葉で抗議しますか。また、誰に抗議しますか。

 もし本当に抗議するのであれば、「ここに植えた杉が伸びたらうちの畑が日陰になってしまうので、杉を植えるのはやめてくれ」というようなことを言うのではないでしょうか。そして、何よりも子どもからも馬鹿にされている虔十ではなくお父さんに言ったはずです。今回であればお兄さんに言った方がいいですよね。それなのに、お兄さんに声をかけられたら何も言わずに去っていったのです。

 ここから平二の虔十への言葉は「言いがかり」「いやがらせ」だったということがわかります。

 

・「虔十は顔を赤くして何か言いたそうにしましたが言えないでもじもじしました。」

 虔十が顔を赤くしているという表情があるので、ここから心情を読み取ります。心情把握の問題についての考え方については、きっと学んだことがあるかと思います。先生によって、塾によって言葉は違うかもしれませんが、基本的なところは変わりません。

 まず、虔十が顔を赤くした原因を考えます。そのために、出来事を調べるとか、場面をおさえるとかと教わっているのではないでしょうか。

 この場合は、平二に「やい。虔十、ここさ杉植えるなんてやっぱり馬鹿だな。第一おらの畑ぁ日影にならな」と言われたときです。なぜ、平二にこの言葉をかけられて顔を赤くしたのでしょうか。先ほど、読解したように平二の言葉は言いがかりでした。ですから、この場面は、自分がせっかく植えた杉を馬鹿にされ、言いがかりもつけられた場面です。こう読み取れれば、顔を赤くしたのは怒りだとわかります。

 次に、虔十は何か言おうとしました。この流れから、杉を馬鹿にし言いがかりをつけてきた平二への文句だとわかります。しかし、それを言えないので「もじもじ」したのです。

 この読解をもとにした選択肢問題を作ってみます。

 

問い 「もじもじ」しているときの虔十の気持ちとしてふさわさしいものを次の中から選び、

  記号で答えなさい。

ア 平二に大切な杉を馬鹿にされたことに腹を立てたが、不平を言って怒らせたくないのでどうしてよいか困惑する気持ち。 

イ 平二に杉を植えたことになんくせをつけられたのが嫌で、文句を言おうとしたがうまく言葉にできずもどかしい気持ち。

ウ 平二に自分の植えた杉をもとにして言いがかりをつけられたことが、言葉にできないほど悔しい気持ち。

エ 平二のようにみんなから嫌われる仕事をしている人間にまで、杉を植えたことを馬鹿にされつらく苦しい気持ち。

 

 選択肢問題の答えを出すときには、記述問題のつもりで考えてください。まず、本文に根拠をとります。根拠をとらずに選択肢にいくと、作問者のワナにはまりやすくなります。消去法を使えるのは、国語が得意な生徒だけです。国語をできるようにするためには、記述だろうと選択肢だろうと、まず本文に根拠をとるための考え方を身につける必要があるのです。それでは、考え方を以下にまとめます。どんな問題でも使える考え方は太字にしておきます。

〈考え方〉

 心情把握の問題ですから、「場面」を調べることから始めます。その際のポイントは、「いつ? と問いかけてきっかけを探すこと」です。

 具体的には、いつ「もじもじ」したのかを調べます。すると、平二に自分が杉を植えたことを馬鹿にされた上に、言いがかりをつけられ、何か言いたいのだけれど言えなかったときだとわかります。

 次の問いかけは、単純です。今、確認した場面の中でわからないことがあるので、それを考えます。すなわち、何が言いたかったのかです。それは、直前に「顔を赤くして」があるので、言いがかりをつけられたことへの文句を言いたかったのだとわかります。

 以上をまとめると、杉を馬鹿にし、言いがかりをつけてきた平二への文句を言えないので「もじもじ」していることがわかります。最後のつめは、「もじもじ」を言葉にすることです。文句を言いたいのに言えないのですから、もどかしいというのがいいですね。

 ちなみに、「もどかしい」を辞書で引いてみます。「思うようにならず、いらいらしている。」とあります。

 選択肢を確認する前に再度ポイントの整理です。以下の3点が含まれているかを調べます。

①平二に杉のことを馬鹿にされ、言いがかりをつけられた。重要なのは後者。

②平二に文句を言いたかった。

③文句を言えないのがもどかしい。

ア 平二に大切な杉を馬鹿にされたことに腹を立てたが、不平を言って怒らせたくないのでどうしてよいか困惑する気持ち。 

①は前半しか含まれていない。この段階で×。②がない。③は「困惑」という言葉になっているのはよいが、理由がずれている。①〜③のすべてが×。

イ 平二に杉を植えたことになんくせをつけられたのが嫌で、文句を言おうとしたがうまく言葉にできずもどかしい気持ち。

①なんくせをつけられた=言いがかりをつけられた。「なんくせ」がわからないから×としないようにしたいですね。②は直接書いてあります。③もOKです。これが正解ですね。

ウ 平二に自分の植えた杉をもとにして言いがかりをつけられたことが、言葉にできないほど悔しい気持ち。

①は○。②何か言おうとしたの内容にはふれられていません。③「言葉にできないほど悔しい」ではなく、「言葉にできないので悔しい」とならなければなりません。イの「なんくせ」を削るとこっちを選んでしまいますね。

エ 平二のようにみんなから嫌われる仕事をしている人間にまで、杉を植えたことを馬鹿にされつらく苦しい気持ち。

①はありません。②もありません。③もありません。しかし、平二がみんなから嫌われる仕事をしていることは本文に書かれています。杉を植えたことを馬鹿にされたことも書かれています。であれば、つらく苦しいと判断することもできます。つまり、この選択肢があっているかと考えて本文に確かめにいくと間違えやすいということなのです。この問いでエを選んでいる子は、読解力はあっても点をなかなかとれない子ですよね。でも、こういう子はあっという間に成績が上がります。是非、ブログを読み返してください。

 

おまけです。「言いがかり」を辞書で引いてみました。

ちょっとでも気になった言葉は辞書を引く習慣をつけたいものです。

・理由にならないことをむりやりにこじつけて、相手につっかかること。そのような理由や口実。(『例解新国語辞典』より)

・口実を作って、難癖をつけること。また、その事柄。(『大辞泉』より)

・人を責め困らせるために言い立てる、事実無根の口実。なんくせ。いいかけ。(『日本国語大辞典』より)

※「口実」は書けるようにしておきましょう。