「国語を得意に!」〜中学入試応援ブログ〜

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受験国語 これを意識するだけで点数が安定する!

 今回のブログでは、傍線部を説明する選択肢問題の考え方についてお伝えします。

 短期間で得点力を上げるのに最も効率的な問題です。

 国語の点数を安定させたい生徒は、是非ご覧ください。

 

1)傍線部を説明したものとして最もふさわしい選択肢を選ぶとは、どういうことか。

 実は、ここを正確にとらえていないことが安定させられない理由です。

 「説明」というのは、「ある事柄をよくわかるように述べること」という意味ですが、説明するものは多岐にわたります。理由もあれば目的もあるし、心情の場合ももちろんあります。

 傍線部を説明するというのは、傍線の内容をわかりやすく述べるということです。

 単純化していえば、傍線とイコールが成り立つ選択肢を選ぶということになります。

 

 それでは、例題を通じて学びましょう。

 なんと本文を読むまでもなく正解を出すことも可能になるのです。

 

2) 例題①

 「記憶の焦点を合わせるかのように」から読み取れる主人公の様子としてもっとも適当な

ものを次の1~4から一つ選び、番号で答えなさい。

 

 大事なことは、傍線と答えがイコールになるものを選ぶ、ということです。 

 このゴールへ向かう手順が最も大切になります。

 

ポイント 選択肢問題を解く手順「根拠→選択肢」

 この順番を絶対に外さないでください。

 この選択肢あってるかな? と考えながら傍線や本文に戻すことは基本的にはやりません。

 

 では、根拠について具体的に見ていきましょう。

 傍線から得られる情報を考えること。これが最初にやることです。

 ここをおろそかにすると、何となく選択肢を選ぶことになってしまいます。

 

 今回の傍線は「記憶の焦点を合わせるかのように」です。

 本当に単純なことを確認します。ドアを開けるためには、そのドアは閉まっていなければなりません。この程度のことは誰でもわかりますよね。そのことを問題を解く際に常に意識してほしいのです。

 「記憶の焦点を合わせる」ためには、もともと記憶の焦点があっていない状態である必要があるのです。それってどんな状態でしょうか。これは、みなさんも経験があるはずです。記憶をはっきりと思い出せない状態。それが焦点を合わせる前の状態になります。

 「焦点を合わせる」というのは、一点に集中させることです。

 

 この二つを情報をまとめます。

 はっきりしない記憶を明らかにしようと集中しているとなります。

 これで根拠を得られました。実は、傍線部をわかりやすく言い換えただけです。この考え方は、記述問題でも同じだということは覚えておいてください。

 根拠がとれたら、同じ内容の選択肢を選ぶだけです。

 

 では、実際に選択肢を見てみましょう。

 

1 記憶が次第におぼろげになり、自分に残された時間のわずかであることにあせりを感じている様子。

2 幼い頃の思い出が次々に心に浮かび、瑠美に語りつくせないほどであることにとまど

っている様子。

3 遠い記憶をたどり、ある一時期の自分の思い出を正確によみがえらせ瑠美に伝えようと集中する様子。

4 瑠美を説得するために、うすれゆく過去の記憶を一つでも多く明らかにしようと一生

懸命な様子。

 

 1には「焦点を合わせる」ことがふれられていません。

 2は「記憶の焦点を合わせる」こととずれます。

 3は「遠い記憶をたどり」から、記憶がはっきりしないということがうかがえます。また、「自分の思い出を」「よみがえらせ」ようとするのですから、「焦点を合わせ」ていることもわかります。

 4は「うすれゆく過去の記憶」から、記憶がはっきりしないということがわかります。また「一生懸命な様子」には「焦点を合わせる」という表現からうかがえる集中と似た雰囲気が感じられます。だから4を正解にする生徒も出ることになるはずです。

 でも、よく考えてみると「過去の記憶を一つでも多く明らかにしよう」というのは、「焦点を合わせる」ことに重ならないので削れることに気づくはずです。

 この4を選ばないようにすることがたいへん重要なことになります。

 ポイントを再確認します。

 

ポイント 選択肢問題を解く手順「根拠→選択肢」

 

 答えを出す際に重要なことは、本文や設問を読んで得た根拠を選択肢に重ねにいくということです。「記憶の焦点を合わせる」から得られた、はっきりしない記憶を明らかにしようと集中しているという根拠に重なるものを選ぼうとしたらウが出るはずです。

 それを、選択肢を根拠に重ねにいくと、こういう思考が入ってしまうのです。

 「一生懸命な」というのは、記憶を思い出そうとがんばっているのだから「焦点を合わせる」と言えないこともない。すなわち、解釈をしてしまうのです。この解釈がまずいのです。

冷静に考えてください。「焦点を合わせる」は一点に集中させることです。命がけで事にあたるという「一生懸命」とは違いますよね。

 「根拠→選択肢」という順番を忘れないようにしましょう。

 

3)例題② 

問 「そして目の前の雲は、仙蔵の知らないどこか遠くへ行ってしまった」という表現の説

明としてもっとも適当なものを次の1~4から選び、番号で答えなさい。

 

 「そして」から始まっているので、前の文の内容を把握した上で解くのは当然です。が、今回もあえて、傍線部のみで考えてみましょう。

 

 繰り返しますが、「根拠→選択肢」です。

 

 まずは、傍線部から得られる情報を考えます。 

 「目の前の雲は」「どこか遠くへ行ってしまった」と書かれているので、そのことがらは仙蔵にとって好ましくないことだとわかります。しかも、「どこか遠く」に対してわざわざ「仙蔵の知らない」という言葉も書かれています。要するに、仙蔵には関わりの持てない遠いところに「雲」が行くという好ましくないことが起こった、と考えられます。

 この根拠を持って、選択肢に挑みます。なお、すべての選択肢に、「船を雲にたとえ」と書かれているので、根拠は次のとおりに言い換えることが可能になります。仙蔵には関わりの持てない遠いところに船が行くという好ましくないことが起こった

 では、選択肢に重ねにいきましょう。 

 

1 船を雲にたとえ、仙蔵の幼さと、母が外地に行った事情やその目的を知らされていなか

たことを示している。

2 船を雲にたとえ、仙蔵が何も心配せず、おおらかな気持ちで事態を楽観的にとらえてい

たことを感じさせている。

3 船を雲にたとえ、出航するときに強い風が吹いてきたと表現することで、母の去り際の

あわてた様子を表している。

4 船を雲にたとえ、それがどこか遠くへ行ってしまったと表現することで、遠回しに母の

死をにおわせている。

 

 根拠をとった状態で選択肢を見ると4が正解だとすぐ気づけますよね。

 いかがですか。根拠から選択肢に重ねにいくというイメージはつかめましたでしょうか。

 あとは自分の受ける学校の過去問で確かめてみてください。

 

4)今日の最後に 

 今回は、傍線部を説明する選択肢問題について解説をしましたが、結局一番大切なことは「正しく根拠をとる」ことです。どれだけ情報を増やせるかが鍵なのです。

 「焦点を合わせる」という表現から、まだ焦点が合っていないという単純なことを理解することだし、「しまった」という表現から、好ましくないことであるということを確認することなのです。

 

 今まで読み過ごしていた表現を意識できるようになれば、残り期間でびっくりするほど点数が上がります。是非、がんばってください。最後の最後まで伸びます!!